「活用法」は結局、「捨て方」に行き着く
まず、なぜ『情報の「捨て方」』という本を書いたのか。率直に言うと、出版社から依頼があったからです。
若い頃、情報に関する新書を何冊か読んだことがありますが、やはりその当時の物なので、紙に書かれた情報をどう扱うか、頭の中に湧いたアイデアをどうやって紙に残してまとめるか——というテーマが中心で、今のようなネット社会、それからSNS社会には対応していないものも多い。
では、今ならどうやって情報を扱うのがいいのか。
「ITツールは最新のものを買う」「新しいサービスはとりあえず何でも使ってみる」と決めている私のやりかたを整理してまとめることは、読者の方の参考になるのではと思うようになりました。
書き始めたころ、本のタイトルは『情報の「使い方」』でした。これは、同じ角川新書で刊行されている出口治明さん(ライフネット生命 代表取締役会長兼CEO)の『本の「使い方」』の二番煎じです(笑)。
ところが、編集者と『情報の「使い方」』について打ち合わせをしていると、いつの間にか話は『情報の「捨て方」』になっていくんですよ。編集者は、これでは本にならないのではないかと心配していたようです。
「捨て方」とは、バカ情報には触れるなとか、情報は整理しなくていいとか、ネットニュースをチェックしまくるのは愚の骨頂とか、メモをきれいにとる必要はないので、捨てることを前提とした紙にとればいいとか——とにかく、「触れる情報を絞り込み、必要最低限のもの以外は溜めることを考えない」というものです。
私はずっとこの信念で情報に接してきたのですが、こういったことを話しているうちに、今の社会で必要とされているのは、こっち(捨て方)のほうではないかと思うようになりました。
「バカ」を相手にしないための最低限のルール
「情報を」と来たら次に続く言葉は「入手する」とか「活用する」としたくなる人がほとんどだと思います。
けれども私の場合は「情報を」に続くのは「発信する」です。
アウトプット、つまり人に話したり原稿に書いたりすることが前提にあるので、アウトプットをするはずのない情報はインプットしません。
このインプット不要の情報は、私流に言えば「バカ情報」です。バカ情報をインプットしないため、たとえば、私はフェイスブックでバカ情報ばかりを書いている友だちをブロックすることを厭いません。
「そんなことをしたら友だちとの間にヒビが入るのでは」と言われることがありますが、現実の「友だち」と、フェイスブックが勝手に設定した「友だち」という名の相互フォローとは意味が違います。フェイスブックでは友だちではなくても、現実では友だち、という関係は成立しますので安心してください。
先ほど、アウトプットとは“人に話したり原稿に書いたりすること”と書きましたが、私は、人目に触れないアウトプットもしています。
「いつか人に話したり原稿に書いたりするかもしれないこと」を、自分だけのために記録しておくのです。
その記録は、整理しません。思いついたことをただただ書き連ねるだけ。そして、ときおり見返します。
この作業は、過去の自分との対話になります。過去の自分が興味を持っていたことと向き合うことで、一人時間差ブレストが可能になり、ただ書き連ねた記録が思わぬアイデアをもたらすことがあるのです。その結果はもちろん、人に話したり原稿に書いたりします。事業に繋げることもあります。
情報に「溺れず」「不足させず」——現代を生き抜く知恵
「それは成毛さんのやり方でしょ、私に必要なのはアウトプットではなくてインプットなんです」という人もいるかもしれません。ここで、良いことを書いておきましょう。
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