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 道内に初夏を告げるスルメイカ。この幼生を実験水槽で孵化(ふか)後10日間生存させることに北海道大学の研究グループが成功した。従来は4日間程度だったが10日間は世界最長という。幼生期の餌を特定する手がかりも得られ、謎が多いスルメイカの生態解明につながりそうだ。

 グループを率いる同大大学院の桜井泰憲特任教授(海洋生態学)らは1990年代に世界初のスルメイカの人工授精に成功。今回の実験はインドからの留学生のパンディー・プニータさんが担当し、函館市国際水産・海洋総合研究センターの大水槽(容量225トン)で行われた。

 スルメイカは秋以降に南下し、日本海南部などで約1ミリの卵を最大20万個ほど産むとされる。腕などが未分化の幼生期は孵化から2~3週間。孵化後に体内に残る卵黄が4日間ほどでなくなった後、生存には、幼生が海中で「懸濁物」と呼ばれる有機物のマリンスノーを餌にしていることが有力視されていた。

 今回、噴火湾で採集したスルメイカから孵化した幼生を有機物を含む自然海水の中で飼育。5匹ほどが10日間生存し体長約2ミリに成長した。体内の卵黄がなくなってからも生存したことから、幼生がマリンスノーを食べている可能性が裏付けられたという。桜井特任教授は「幼生を長く生存させることができれば、スルメイカの生活史や、イカ資源の変動の解明にもつながる」と話している。(泉賢司)