手放しの絶賛が、コロッと批判に転じるとき
このところ、横綱白鳳に対する風当たりが強い。以前からそういった兆候はみられていたが、平成27年の初場所の取り組みに関して、白鳳が審判批判をしたことが決定的なきっかけとなり、マスコミが重大な問題として追求し始めた。
問題となったのは、13日目の白鳳対大関・稀勢の里戦である。この一番に物言いがつき、取り直しになったことについて、白鳳自身は納得しなかった(取り直しの一戦は、白鳳が勝利している)。千秋楽から一夜明けた1月26日の会見において、白鳳は次のように不満を述べた。
「子供でもわかる相撲だもんね。なぜ取り直しにしたんだろう」
「肌の色は関係ないんだよね。同じ人間なんです」
この後者の発言は、モンゴル人力士に対する隠れた「人種差別」を指摘したものであり、相撲界のタブーにふれる内容であった。これに対して相撲協会の北の湖理事長らは激怒し、師匠の宮城野親方が理事長に謝罪することとなった。
さらに白鵬自身も、テレビ番組で形ばかりの謝罪の弁を口にした。けれども、本心からの反省といえる内容ではなく、これ以降、白鵬は、マスコミの記者を無視する態度に出るようになり、それが現在まで続いている。
週刊新潮によれば、直近の3月場所になっても、白鳳とマスコミとの冷戦が続いている。次はある相撲記者の話である(週刊新潮2015年4月2日)。
「白鵬は2日目から支度部屋で報道陣に背を向けて座り、ベテラン記者が声をかけても無視。そのうち、誰も質問をしない異様な状況になってしまった。優勝翌日の“一夜明け会見”には応じましたが、騒動については“終わったこと”と言うだけで、謝罪の言葉はありませんでした」
このような白鳳に対して、マスコミの論調も、著名人のコメントも手厳しい。ライブドアニュースは、次のように述べている(2015年1月20日)。
「横綱ではなく、スモウレスリングのチャンピオン――といっても過言ではない。」
大相撲初場所8日目、横綱白鵬(29)がまたもやらかした。安美錦を下して勝ち名乗りを受けると、「どうだ!」と言わんばかりに懸賞金の束を高く掲げたのだ。以前から懸賞金をひったくるように受け取るしぐさが問題視されていたが、今回はそれ以上に品がない。かの朝青龍を上回る態度の悪さだ……」
前述の週刊新潮において、やくみつる氏も白鳳を批判した。
「……白鵬は“勝ち続けさえすれば誰も文句は言えまい”という考えになってしまっており、その姿は、何事も自分勝手だった朝青龍とダブります。このままいけば、白鵬も朝青龍と同じ道をたどることになるのではないでしょうか」
次は、黒鉄ヒロシの発言である。
「相撲はスポーツではなく、日本人特有の文化、祭式に近いものですから、外国人が完璧に理解するのは難しい。これは差別でもなんでもなく、相撲とはそういうものなのです。だから、白鵬の態度が悪くなっても驚くことはない……」
白鳳も、そしてすでに引退した朝青龍も、相撲界の立役者であり、彼らモンゴル人力士の存在によって、最近の10年あまり、相撲界の人気が支えられてきたことは明らかである(現時点でも同様な状況であり、日本人の上位力士はわずかしかいない)。マスコミもしばらく前までは、白鳳について、「日本人より日本人らしい力士」、「大横綱の風格」などともてはやしてきた。
それにもかかわらず、彼らの力が大きくなり「増長」した言動が目立つようになると、今度は一転して「日本人の心がない」などと否定するのは理不尽であるのは明らかである。今になって白鳳をバッシングするのであれば、相撲界もジャーナリズムも、そもそも最初から外国人力士を受け入れるべきではなかった。
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