「逮捕現場から離れた被疑者宅の家宅捜索は違法」

大法院、二審判決を破棄、差し戻し

 大法院(日本の最高裁判所に相当)第1部(金竜徳〈キム・ヨンドク〉裁判長)は8日「逮捕状の発行を受け被疑者を逮捕した際、現場から離れた被疑者の自宅まで家宅捜索したのは違法な手続きだ」として、被告人の男性(45)に懲役10年を言い渡した二審判決を破棄し、審理をソウル高裁に差し戻した。被疑者を逮捕した際、緊急の家宅捜索を行う必要が生じた場合には、まず捜索を行った上で、後から令状を請求することもできるが、現場から2キロも離れた自宅を令状なしで捜索して確保した物件は、証拠として認められないと判断したものだ。

 男性は2012年から13年にかけ、覚せい剤214グラムを約3300万ウォン(現在のレートで約367万円)で販売したほか、車内に316.2グラムの覚せい剤を隠し持っていたとして逮捕された。検察の捜査官たちは、車に乗って逃げようとした男性を逮捕する過程で、車の中から覚せい剤を押収し、現場から2キロ離れた男性の自宅も捜索して、無許可で所持していた長さ1メートルの長剣を押収した。一・二審は男性の起訴事実を有罪とし、一審は懲役8年、二審は同10年を言い渡した。

 ところが大法院は「捜査官たちが男性の自宅を捜索した当時、男性はすでに逮捕されていた。逮捕した現場と住所が離れていたため、男性の住所を『逮捕場所』と見なすのは困難だ。男性の自宅に対する家宅捜索は、刑事訴訟法上の合法な手続きとは見なせない」との判断を示した。刑事訴訟法によると、司法警察職員は令状なく逮捕現場や犯行現場で捜索や押収、検証を行うことができるが、押収物を引き続き保管する場合には、直ちに裁判所に捜索令状を請求する必要があると定められている。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者
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