韓国政府は7日、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の患者が発生した病院に加え、感染が確認される前に患者が治療を受けた別の病院など計24の医療機関名を公表し、また8日にはさらに五つの医療機関を追加で公表した。しかし最初に感染が確認されてから病院名が公表されるまで18日も過ぎていたため、結果的にさまざまな混乱やマイナスの影響が表面化しているのも事実だ。
マイナス面として第一に挙げられる点は、善意で治療に当たっている病院の多くが被害を受けている点だ。ソウル市中区で開業医をしているユン・チャンオク医師はフェイスブックに「ある患者が高熱の症状を訴え治療を受けに来た際、サムスン・ソウル病院を訪問していたことを明かしたため、直ちに別の総合病院に搬送し病院の消毒を実施した」と前置きした上で「このように伝染病の広がりを防ぐため最善の努力をしているにもかかわらず、国は当院が行った措置については一切言及せず、患者が治療を受けた病院としてのみ当院の名前を公表した。その影響で当院はMERS病院というレッテルが貼られた」として国の対応を非難した。また忠清南道天安市の天安壇国大学病院は、院内にウイルスを遮断する隔離病棟を持つことから、MERS患者の治療には積極的に当たっているが、今回同じくMERS患者が治療を受けた病院としてのみ国から名指しされた。その影響で、ここ数日は患者の数が半分以下にまで落ち込んでいるという。忠清南道の安熙正(アン・ヒジョン)知事は「医療機関としての責務を真剣に果たしているにもかかわらず、国からはひどい仕打ちを受けた」として同じく国の対応を強い口調で非難した。
首相代行を務めるチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官は病院リストを公表する際「患者が立ち寄っただけであれば、その病院は感染を拡大する恐れはない」と明言したが、そのような言葉だけで他の患者たちは安心できないだろう。国はMERS感染者の治療を行ったことがある医療機関のうち、隔離の手順を厳正に踏み、消毒などを徹底して施し感染拡大を防いでいる病院については、最善を尽くしている事実も同時に公表し、他の患者が安心して治療を受けられるようにしなければならない。
これまで感染が確認された患者たちは、全員が病院で感染している。そのため医療機関が感染者に対していかに対応するかが、今後も感染が広がるかどうかの鍵を握ると言っても過言ではない。国が医療機関からの全面的な協力を取り付けるには、感染拡大の阻止に積極的に取り組んでいる病院が被害を受けることのないようにしなければならない。またやむなく何らかの影響を受けた病院に対しては、事後に被害に見合った支援を行うことも検討すべきだろう。病院も患者を他の医療機関に押し付けるようなことはせず、関係団体などを通じて互いに協力し合う仕組みを構築しなければならない。ウイルスを遮断できる施設のある病院は全国に五十数カ所しかないが、これらの病院は患者の治療や感染拡大などに特に積極的に取り組む必要があるだろう。
大韓病院協会と大韓感染学会は8日、全国の全ての病院を対象に肺炎やインフルエンザ患者の全数調査を行うことと、それによってMERSへの感染の実態について短期間に把握することを提案した。費用が掛かるのはやむを得ないが、この方法なら確かに短い時間で混乱を収拾できるだろう。国がその費用を全額負担することなども含め、これら民間の医療機関からの提案についても国は前向きに検討していくべきだ。
京畿道病院協会は8日、MERSへの感染が疑われる患者が治療を受けられる道内の病院四十数カ所を公表した。中でも特に高熱が続く場合は水原医療院で診察を受けるよう呼び掛けている。医療機関によるこのような自発的な動きは非常に望ましいことだ。世界的なレベルの治療ノウハウを持つ韓国の医療機関が、今後互いに協力し合って対策や治療に当たれば、今回のMERSの感染拡大は近いうちに間違いなく収束するはずだ。国民もこのような努力を続ける医師や看護師など医療関係者を信頼して、彼らを激励し声援を送ってほしいものだ。