日本の安倍政権に対する支持率が、先月の58%から、今月は53%と、5ポイントも下落した。読売新聞が今月5日から7日にかけ、全国の成人約1000人に対し実施した世論調査で、このような結果が出た。同紙はその主な要因として「安全保障関連法案」を挙げた。同法案について「政府・与党が法案の内容を十分に説明していない」と回答した人は80%に達し、また安倍政権が目指す安全保障法制の整備が実現したとしても「外国からの武力攻撃に対する抑止力が高まるとは思わない」という回答が54%、安保関連法案の今国会での成立に「反対」と回答した人は58%に達した。
つい最近まで、安倍政権に対する支持率は上昇の一途をたどっていた。いわゆる「アベノミクス」により、さまざまな経済指標が新記録を打ち立て、日米関係・日中関係ともよくなったというのがその理由だ。なぜ突然、国民が心変わりしたのだろうか。そのきっかけの一つが、今月4日に憲法学者3人が国会の場で、安倍政権が推進する安保関連法案を「憲法違反」と述べたことだ。
このような意見を述べたのは、与党の自民・公明両党などが推薦した早稲田大学の長谷部恭男教授、維新の党が推薦した同大の笹田栄司教授、民主党が推薦した慶応大学の小林節教授の3人だ。国会が安保関連法案を本格的に審議するのに先立ち、憲法学者たちの意見を聴いたのだった。
憲法学者たちはこの日、安倍政権を猛烈に批判した。民主党が推薦した小林氏だけでなく、自民党や維新の党が推薦した学者たちまでもが同じ意見だった。長谷部氏は「従来の政府見解の基本的論理で説明がつかない」と指摘した。また笹田氏は「内閣法制局と自民党政権がつくった安保法制までが限界。今の定義では憲法を踏み越えた」と述べた。
予想外の事態に政府も与党も戸惑いを見せた。学者たちは参考人に過ぎず、意見を無視したとしても法的には問題はないが、道徳的な面での打撃は小さくない。「現実的な負担」もある。菅義偉官房長官は「憲法違反だという学者たちの指摘はあたらない」と述べたが、記者たちは「憲法違反だとして訴訟が起こされたらどうするのか」と噛み付いた。これに対し菅長官は「訴訟を起こすのは勝手だ」と言い切った。
日本メディアの論調は真っ二つに分かれた。読売新聞は「集団的自衛権は憲法に反しない。政府・与党はもっと緊張感を持って国会に臨むべきだ」と主張した。
産経新聞は「学者たちの人選が誤っていた」と指摘した。一方、毎日新聞と産経新聞は学者たちの指摘を歓迎した。なお、読売新聞の世論調査は、学者たちの意見表明の直後に行われた。その直前の調査では、安保法制に賛成した人(46%)が反対した人(41%)を上回っていたが、今回の調査では反対(48%)が賛成(40%)を大幅に上回る結果となった。