朝日新聞は6月1日付夕刊1面に「悩める邦字新聞/苦境 南米で日系人口減少」と見出しをつけ、南米の日本人移民を対象に発行してきた日本語新聞が存続の危機に直面している現状などを報じた。しかし、見出しで「南米で日系人口減少」としたのは「南米で日系1世人口減少」の誤りだったとして、8日付夕刊で訂正した。ブラジルの日本語新聞「ニッケイ新聞」が見出しに明らかな間違いがあるなどと朝日新聞社に抗議していた。
ニッケイ新聞によると、戦前戦後にブラジルに移住した日本人は25万人弱だが、現在は移民の子孫を含め150万人。日本語の読める移民世代の減少は事実だが、その子孫を含む「日系人」は減少していない。ニッケイ新聞は朝日新聞に見出しの誤りなどを抗議し、コラムでも「意図的なものではなく、移民、日系人、日系社会への無関心が誤報を生んだ」などと問題点を指摘。朝日新聞の国際報道部長代理から同社に謝罪のメールが届いたという。
ただ、朝日新聞の記事本文には「日本語の読める日系人口の減少」と記載されており、本文は訂正の対象とならなかった。記事は南北アメリカの日本語新聞が次々に廃刊になっているなどと報じていた。
ニッケイ新聞は6月2日と6日のコラムで、今回の朝日新聞の記事について取り上げ、「経営状況の厳しさ、部数の減少」は事実だとしながらも、記事のルビ振りや書籍出版、ニュースサイトの発信などの経営努力には一切触れず、「ネガティブな面だけを、これでもかというほどに取り上げる」「移民にとっての新聞の意義に触れず、読者目線もない」などと痛烈に批判していた。今回の訂正記事についても、同社は日本報道検証機構に対し、「1週間後のこの小さな訂正で、読者には伝わらないだろうなというのが実感です。『日系1世』という表記も非常に読者に違和感を与えるのではないでしょうか。海外に出た同胞を、遠い存在に思わせる表現だと思います。大見出しで伝えたインパクトはなかなか消せるものではありません。『形だけ』の訂正の感をぬぐえません」とのコメントを寄せた。
朝日新聞2015年6月1日付夕刊1面
朝日新聞2015年6月8日付夕刊10面
- 朝日新聞よ、弱いものイジメか (ニッケイ新聞 2015/6/2)
- 朝日新聞が本紙に謝罪=抗議受け、誤報認める=週明け、訂正記事掲載へ (ニッケイ新聞 2015/6/6)
- (初稿:2015年6月9日 18:01)