河原田慎一
2015年6月8日21時55分
業務上のけがや病気で長期に休職している労働者を解雇できる条件について、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、これまでの法解釈を緩和する判決を出した。これまでは補償金のほか、療養費を雇う側が支払っていることが解雇できる条件だったが、国の労災保険の給付金が療養費の代わりになる、との初の判断を示した。
労働基準法は、労働者保護の観点から解雇できる条件を厳しく規定している。療養中の労働者については、3年たっても治らず、雇用主が療養費を支払っていれば、1200日分の「打切補償」を支払うことで解雇できるとしている。ただ、労災が認められれば、療養中も労災保険の給付金を受け取れるため、これが療養費と同じ扱いになるかが争われた。
訴えていたのは、肩や腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」で休職中の専修大元職員の男性(40)。2011年に補償金を支払われて解雇された。労災保険の給付金を受けていたが、療養費が支払われていなかったため、解雇は無効で職員の地位にあることの確認を求めていた。一、二審判決は、労災保険の給付金と療養費は別だとして解雇を無効とした。
残り:320文字/本文:805文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!