2015年6月8日05時52分
■脳科学者・中野信子さんに聞く
――いまの日本の政治や会社では、男性が幅を利かせています。そもそも、男と女の脳に、違いはあるのでしょうか。
「男のほうが背は高く、筋肉量は多い。女のほうが背は低く、肌はきめ細かい。脳も身体の一部ですから当然、差はあります。たとえば脳には左耳の上あたりに『上側頭溝』があり、コミュニケーション能力をつかさどっています。男と女を比べると、女が大きい。お話をしたり、空気を読んだりという気質は、女が高いと言えます」
――私のまわりの男性には、空気を読みそうな人が多いような気がしますが。
「モデル業界の人なら、『私のまわりには背の高い女性ばかりいますが』とおっしゃるかもしれない。しかし、モデルの女性たちは、とても女性全体の身長を代表するのにふさわしいサンプルとは言えないでしょう? 新聞社の男性はマス“コミュニケーション”がなりわいですから、ほかの職業に比べると、空気を読める人が多く偏って存在するのでは。科学研究はなるべく偏らないサンプルを多数取って、比較する。『男性全体と女性全体で比べると平均的にこう違う』と、統計的にデータを評価します」
――上側頭溝の大きさ以外に、男女の脳に違いはありますか。
「知能の分布も男女では違います。知能は普通、真ん中が多くて両端が少ない、釣り鐘型の分布です。女のほうが真ん中に多く集まり、男は釣り鐘の形が幅広くなっています。ひじょうに慎重に言わなければいけませんが、分布の形から言うと、頭の良い人は男に多い、ということになります。こういう研究を、性差を認めたくない人たちはとても批判してきました」
――この分布が正しければ、頭の悪い人も男に多い、ということですね。
「その通りです。言い方次第で男性からも女性からも批判されてしまいます」
――感情に、男女差はありますか。
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