40代以上になっても職がない「中高年ニート」が増えているという。総務省などの調査では、若者よりも中高年のニートの増加が著しく、報道で取り上げられることも増えてきた。
「ニートの高齢化」は以前から指摘されていた。東京大学教授の玄田有史氏が2011年の社会基本調査(総務省)を分析すると、孤立し仕事もない状態(SNEP)の人は20~59歳で162万人。そのうち35歳以上は79万人と過半数を占めていたという。
もうムリと退職する人も。「父さん、母さんの育て方が悪かった」
玄田氏は総合研究開発機構・伊藤元重理事長との対談の中で、ニートが高齢化することによる影響をこう指摘している。
「若いうちに働けない人は、中高年になっても働けない。結局今はまだ親が生きているからそれなりに生活ができますが、将来的には生活保護に依存するようになると、ものすごく大きな社会的なコストが生まれる」
4月30日放送の情報番組「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)は、中高年ニートの特集を組んだ。40代の中高年ニートは2014年時点で約45万人。これは2004年の約30万人から15万人も増加している。
この原因について番組は、バブル崩壊後の90年代に若年ニートが急増し、そのまま定職につかずに「中高年ニート」になったのではと指摘する。確かに90年代後半には、学校卒業時点で就職も進学もしていない人や、アルバイト・パートで就業する非在学の若者が急増している。
さらに増えているのは、数年前まで企業に勤めていたのに、40代になって「もうムリ」と心が折れるように退職してしまうケースだ。親がなぜと聞いても理由が分からず、このような言い分で中高年ニートを続けているのだという。
「頑張ったんだけどうまくいかない」
「父さん、母さんの育て方が悪かった」
「俺なりにちゃんと考えている」
「お前等のせいで若者の負担が増えてる」と批判も
同番組に出演した脳科学者の中野信子氏は、こうした言い分で中高年ニートが「働かないこと」について、こう理由を推察する。
「異論があるかもしれませんが、ニートというのは合理的選択なんです。これだけ豊かな国で、シニアに資産が偏在していて、働かないことが一番合理的な選択だと思っているかもしれない」
さらに「もう一つの理由」として、中野氏は「働かないことが親孝行になっている」と指摘。いつまでも面倒を見させることが、親に存在価値を与えているとする。
「私がいなければこの子はダメなのよ、と思わせてあげることが孝行になっている」
番組の内容はツイッターなどネットでも話題になっており、さまざまな言い訳をしながら働かない中高年ニートに、「お前等が働かないせいで若者の負担が増えてる」「全部『他人』や『環境』のせいにしてる」といった厳しい意見も少なくない。
その一方で、「35歳以上の募集が皆無なハロワの募集見てから特集組めよ」と彼らが仕事を得にくい現状を踏まえるべきという指摘や、「生真面目な人ほどなってしまうのにね…」と精神的なケアの必要性を訴える意見もあった。
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8 comments to this article
意見
on 2015.5.8 at 7:42 AM -
日本における若年無業者(ニート)の算出方法は、厚生労働省『特定調査票集計』の中の「詳細集計」(総務省の労働力調査)に基づいており、そのうち、15〜34歳の非労働力人口[6]の中から、学生と専業主婦を除き、求職活動に至っていない者と定義している
そのため 中高年ニート という発言は不適切
きちんと 学んで書くべきだ
意見
on 2015.5.8 at 7:43 AM -
中高年ニート は存在せず・・・
本における若年無業者(ニート)の算出方法は、厚生労働省『特定調査票集計』の中の「詳細集計」(総務省の労働力調査)に基づいており、そのうち、15〜34歳の非労働力人口[6]の中から、学生と専業主婦を除き、求職活動に至っていない者と定義している。いわゆる「家事手伝い」については、現在の厚労省の定義ではニートに含めないこととしている(下記)
ニートというには 年齢制限が明確だ
匿名
on 2015.5.9 at 6:23 AM -
40過ぎたら求人はぐっと減りますね。
自分が雇う立場になれば当然かもしれません。
しかし皆無なわけではありません。
匿名
on 2015.5.9 at 9:22 AM -
「ニート」という言葉に,
俗に「無職・ひきこもり」という意味がつく場合がある以上,
言葉尻を捉えて噛み付くって言うのは少々”アレ”だわな.
それはさておき,
親の溜め込んだ金を社会に放出してくれていると考えれば
まぁ悪いことじゃないんじゃないの?
あとは生活保護を受けさせないなど,
社会に流れ出た金を本人に戻さないようにすれば完璧だ.
匿名
on 2015.5.9 at 10:56 AM -
本当、こういう学者にも、実態をろくに調査もしないで、ニートだのSNEPだとか、くだらん造語を作っては、くだらん本を書いて、金儲けを企む輩がいるからどうしようもないね。
社会学なんて、こんなくだらん本を書いていても論文として認められるなら、学問分野として廃止してもいいくらいだよ。
今の日本は、国力そのものが低下していることや、解雇規制が厳しく正社員の保護が過剰すぎることもあって、病気などでいったん離職して、その離職期間が長引くと、なかなか正社員としては復帰できなくなるんですよ。
復帰できたとしても、ブラックな環境でのブラックな職しかない。
これじゃあ、ニートが増えるのも仕方ないですよ。
ことは、むしろ経済学的な話なので、社会学的、かつ精神論的なくだらん話なんかしても、論文にも値しないでしょう。
病気や事故で、仕事を失い、まともな就職先を失った人まで、ニートだ何だのと、差別用語を使うのは、単なる誹謗中傷に過ぎず、人格権を保証する憲法にも抵触すると思いますよ。
半ニート半社会人
on 2015.5.9 at 4:34 PM -
生育環境を一定に出来ない時点で終わってるんですよね
人間って10代でブラック家庭、ブラックな社会環境に遭っちゃうと
復帰できないことがよくあります
下手な教育政策より子供は国の宝として
家庭や学校で必要以上に酷使させないことが大事になってくるんじゃないでしょうか?
また自分は自分、他人は他人という意識が強すぎるので
他人の歴史を知らな過ぎることも偏見に繋がっている気がしてなりません
これだけネットの発達した現代なら
QRコード付国民名刺(自分史)を携帯することも偏見を無くすアイデアかと思います
匿名
on 2015.5.13 at 7:22 AM -
膨大な雇用を生み出す工場がなくなったから。
大学進学率が上がって求人と求職ののミスマッチが増えたから。
正規雇用が減り就職しても生活が安定しなくなったから。
人々が孤立し、連帯できなくなったから。
長引く不況でそれほどスキルの必要ない仕事でも求人の条件が厳しくなったから。
ここまで変化が起きているにもかかわらず日本の企業の採用担当者の意識は昭和の時代から変わらない。同一労働同一賃金と年齢による差別の撤廃を求める。特に、年齢差別撤廃のために最初は覆面で一般常識や英文読解のテストで足切りすべきだと
思う。
匿名
on 2015.5.13 at 7:59 PM -
理由によって(本来働く意思がない場合のみ使われるニートの意味がこの記事では違っているため)は仕方ないと思う。
ちなうちみたいな田舎はバイトすら新人1週間以内にワンオペやらせたり見て盗めすら無理な環境の求人や賃金をまともに払わない(経営者の都合で半額以下になったり)求人が多かったりする。
正社員より経営者お気に入りの仕事しないアルバイトの方が給料良かったり、そのアルバイトにだけボーナス出しているのにキレた部長らが直談判に行ったら全員待機(実質首)とか。
又聞きだけど、うつ病休職正社員を朝会で呼び出してなじるとか当たり前らしく、とにかく環境が悪い。
新卒ですら履歴書チラ見で雇わないけど続ける?と笑いながら聞かれたり容姿や性別をいじるパワハラ紛いの面接とかで心くじかれそうなのに、中高年で生活していけるレベルの仕事への再就職となると困難だろうと。
条件がいいと言われてるモノクロチラシ求人ですらその年齢だと夜間・ツアー運転手、土方、飲食と三大ブラックしか募集ない。