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ビル・ゲイツが語る教師育成システム「フィードバック無しに成功するなどありえない」

ビル・ゲイツが語る教師育成システム「フィードバック無しに成功するなどありえない」

教師にだってフィードバックを受ける権利がある! 教育を改善するためには教師をより素晴らしい教師にするサポートが不可欠であると語るビル・ゲイツの熱い教育論(TEDより)。

参照動画
Bill Gates: Teachers need real feedback
スピーカー
ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏
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フィードバックをもらえなければ何も改善できない

ビル・ゲイツ氏:誰にでもコーチが必要です。バスケットボール選手であろうが、テニスプレイヤーだろうが、新体操選手であろうが、ブリッジだろうが関係ありません。

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私のブリッジの先生、シャロン・オスバーグは「写真にこんなに後頭部が写った人なんて私以外にいないんじゃないかしら?」と言っていました(笑)。ごめんね、シャロン。はい、これがシャロンです(笑)。

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我々は皆フィードバックをくれる人に頼っています。それが自己改善の方法だからです。残念なことに、ある人々はほとんど全くと言っていいほどフィードバックを受ける機会に恵まれていません。

更に彼らは世界で最も重要な仕事のひとつである教育に携わっています。そう、彼らは教師です。

メリンダと私は、教師がいかにフィードバックを受ける機会に恵まれていないかを知った時とても驚きました。最近まで90%以上の教師がただ一言「満足」というフィードバックしか受けていなかったのです。

もしも私のこれまでのブリッジの先生たちが皆「満足」という評価を私に与えていたら、あぁ僕はこれ以上上手くならないな、と諦めていたことでしょう。

フィードバックなしにすばらしいスキルを持っている人とはどんな人なのか、一体どうやって学べというのでしょう? 何が間違っているかどうやって知ればいいというのでしょうか?

制度として教師の質を上げようとしてはいるものの、現在もまだ教師が教育法を改善できるように与えられるフィードバックはほぼゼロです。

教師は今よりもよい扱いを受けるに値するのではないでしょうか? 今日の制度は教師にとって全くフェアではありません。生徒にもフェアではありません。アメリカの今後のグローバル社会でのリーダーシップを危険に晒しています。

アメリカ:読解15位、科学23位、数学31位

今日はどうやって全ての教師が自己改善するためのツールを得られるようになるかについてお話をしたいと思います。まずは誰が上手いフィードバック制度を持っているか見てみましょう。

国際的対教師フィードバックシステムランキングがあればいいのですが、そんなものは存在しないので、学業で生徒が残す功績が優れている国に着目しました。そしてその国がいかに国の教師の仕事を改善しているか、というシステムを見てみます。

読解能力をとってみます。アメリカは1位なんかとんでもないですし、トップ10位にすら入りません。アメリカは15位で、アイスランド、ポーランドも15位です。

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アメリカよりも優れた国の中で、いくつの国が教師の能力向上のための公式制度を持っているか? 14の国の11ヵ国がその制度を施行していました。

アメリカは読解能力では世界15位ですが、科学では23位、数学では31位です。たったひとつの分野だけが、トップにもう少しで近づけそうだというこの状況は教師の皆さんにフィードバックをする機会を設けていないことが理由のはずです。

学業功績世界トップは上海です。読解、数学、科学、この全ての分野でです。彼らがトップである理由は教師が教授法を改善できるように手助けしているからです。

上海では若い教師が古株のベテラン教師の授業を観覧できるようにしています。毎週勉強会があり、そこでは上手くいく教授法のディスカッションが行われます。更に教師全員、同僚教師にフィードバックをすることを義務付けられています。

なぜこのようなシステムが重要なのか? と思われていますか? 理由は教え方が各教師によって異なり、ある一部の教師が他の教師よりもはるかに効果的な教え方をしているからです。ある教師たちはその生徒の能力、可能性を最大限まで引き出します。

そのレベルの教師が平均的教師となれば、私達の子どもたちはどんなにすばらしい結果を出すようになることか! 

最高の教師たちのレベルが平均的教師のレベルになるようにせねばなりません。

教室の様子を録画

そのシステムはどのようなものでしょうか? 我々の財団は全国3000人の教師と共に「効果的な教育の指標」というプロジェクトに取り組んでいます。

教師が教室で教える様子を録画したビデオを見て、教師を評価する観察者がいます。

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例えば、子どもに少し難しい質問をしているか? ある概念を説明するために複数のアプローチを取っているか? などをチェックします。

更に生徒にアンケートを取り「先生は皆が授業を理解しているかどうか知っていますか?」「間違ったところを正しい答えに導く方法を学びましたか?」などと質問をします。

このプロジェクトからすばらしいことがわかりました。この観察で良い評価だった教師の生徒の学業功績はすばらしかった、つまり我々の評価ポイントが正しかったことを示しています。

そして、このプログラムに参加している教師たちもこのビデオ観察や生徒からのアンケートはとても有益な診断ツールであると評価しています。なぜなら、改善すべき特定のポイントがわかるからです。ではこちらをご覧ください。

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(ビデオクリップ)

:おはようございます! 今日はフィードバックの日です。今日のゴールは今日の授業でエッセイが上手く書けるようになったかどうか確認することです。

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私の名前はサラ・ブラウン・レスリング、アイオワのジョンストンの高校で英語の教師をしています。抽象的に捉えている自分の仕事のやり方と、現実の教え方の間に差があるのではないかと思います。

このビデオによって現実をしっかり認識することができます。ビデオに写っていることが現実ですからね。そこから学ぶことはたくさんあります。実際に自分が教えているところを見ることでプロとして成長できます。

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教室の隅にこのようにビデオを設置します。全てが録画できるわけではないですが、音は多く拾えていますし、多くを見ることができます。

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録画が終わったら、コンピュータに取り込みます。動画を見ながらノートを取り、自分の教授法やクラス全体のリードの仕方などを振り返ります。

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動画でその様子を見ることで教師としての理解度が深まると思います。卓上の理論を展開するよりも、ビデオをこのように観察することがどれだけ有益かというのがわかりました。

全ての生徒が夢を追いかけるワクワクした人生を歩むため

ビル・ゲイツ:いつかはアメリカの全ての教室がこのようになればいいな、と願っています。彼ら自身で診断できる方法以外に、彼らが用いることができるツールを提供する必要があります。

診断結果を元に行動を変えるためのツールです。もしも分数の教え方が甘かった、と気がついたら、分数の教え方が非常に優れている教師の授業を動画で見ることができるようにしなければならない。

教師の皆さんへのフィードバックと改善システムを確立するのは簡単なことではありません。例えば、教師の中にはカメラで録画されていると思うと上手く振る舞えないという人もいるでしょう。もちろんそういう方がいても全く不思議ではありません。

しかし、自分で少し編集していいよ、一番良くできたと思えるものだけを提出してください、とお願いすればより多くの教師がこのプロジェクトに参加してくれるはずです。

そしてシステムを確立するためには資金が必要です。我々財団の算段では恐らく50億ドルの資金が必要となります。それだけ考えると莫大な予算ですが、実はこの数字は毎年の教師全体の給与の2%にも満たないのです。

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このシステムが教師に与える影響は計り知れません。このシステムが確立すれば、ついに我々の教師がフィードバックを得て、その振り返りから得た改善ポイントに取り組む手段ができ上がるのです。そして我が国のためになる。

全ての学習者がすばらしい教育を受け、目指すキャリアや夢を追うことができるようになることを目指しています。我が国がよりすばらしい国になるだけのみならず、このツールが生まれるだけでよりフェアになる。

全ての教師が必要な支援を受けられるようにするこのチャンスにとてもワクワクしています。皆さんも同じ気持ちでいてくれれば良いのですが。ありがとうございました。

※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。

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