皮膚がんをウイルスで治療する方法が、試験最終段階で好成績を上げている。メラノーマの新しい治療として実用化が近づく。
世界中で64の研究所が関わる臨床試験を行っている国際的研究グループが、がんを専門とする国際的オンライン誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー誌2015年5月26日に報告した。
ヘルペスウイルスを使った薬
かねてウイルスによってがんを溶かす治療は注目されていた(がん撃退する「GLV-1h68」腫瘍溶解ウイルスを参照)。
ウイルス免疫療法薬の「タリモジーン・ラハーパレプベック(Talimogene Laherparepvec)」は「T-VEC」とも呼ばれている。単純ヘルペスウイルス1型から遺伝子操作によって作られた薬。腫瘍崩壊を引き起こす。腫瘍の内部でだけ増殖するよう設計されている。さらに、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)を作り出して、全身の抗腫瘍免疫反応を強めるようになる。
リンパ節に転移のあるステージ3B~全身のほかの臓器への転移のあるステージ4のメラノーマ436人を対象として。2:1の割合で、無作為にT-VECを使うグループまたは免疫を強めるGM-CSFだけを使うグループに割当てた。
最も重要視した評価項目は、がんに対して6カ月以上にわたって効果を示しているという「持続的反応率(DRR)」。副次的な評価項目としては、全生存期間と、期間は問わない全体的な反応率も確認している。
V-TECの順調な成果
持続的反応率DRRはCM-CSFのグループでは2.1%、T-VECのグループでは16.3%と差が付いた。全体的な反応率についてはT-VEC治療群で31.5%だったのに対し、CM-CSF治療群では5.7%だった。
全生存期間は、V-TECグループで23.3カ月、GM-CSFグループでは18.9カ月だった。
V-TECの効果は、転移があってメラノーマの大きさも大きな「ステージ3B」「ステージ3C」「ステージ4M1a」のほか、治療歴のない人で最も明白に表れた。
副作用としては、疲労、寒気、発熱があった。T-VEC治療を受けている人でグレード3もしくは4の副作用が2%以上の割合で起こったのは、蜂巣炎(2.1%)だけだった。
日本でも東京大学医科学研究所でがんのウイルス治療が実用化に向けて進んでいると知られている(「第4のがん治療」日本初の治験着手へ、治療困難な脳腫瘍をウイルスで殺す、東大医科研が発表を参照)。手術、薬、放射線に続く、新しいがん治療として定着する可能性もありそうだ。
文献情報
Andtbacka RH et al. Talimogene Laherparepvec Improves Durable Response Rate in Patients With Advanced Melanoma.J Clin Oncol. 2015 May 26. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26014293
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