保健福祉部(省に相当)の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官は31日の会見で「3次感染を防ぐため、国全体として力を集中する」と発言し、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染拡大阻止を宣言した。先月20日に韓国国内で最初の感染が確認されて以降、十数日の間に患者の数は15人に上っているが、最初の患者を除く14人は治療に当たった医療関係者、同じ病室や病棟にいた別の患者、さらには彼らを看病し、あるいは見舞いにきていた人たちで、全て2次感染だ。これら2次感染者が別の所で感染をさらに拡大させれば3次感染となるわけだ。
2次感染までであれば、最初の患者と接触した周囲の人たちを隔離するだけで、感染の拡大はほぼ阻止することができる。しかし3次感染となれば、人間の力では統制がほぼ不可能になる。2次感染者が10人を感染させ、さらにその10人がそれぞれ10人ずつ、計100人を感染させるという形で患者の数が急激に増えることが予想されるからだ。そうなった場合、患者と接触した人間を全て隔離することも事実上不可能だ。つまり3次感染者が発生すると、国の伝染病管理体制が崩壊したこをを意味するわけだ。
これまで政府が取ってきた一連の対応を見ると、まさに「ずさん」としか言いようがない。まずはMERSの感染力を甘く見たため、最初の患者を看病した家族を自宅で待機させた。40代のある女性患者が自ら感染の恐れがあると懸念し、検査と隔離を要請したにもかかわらず、体温が38度に満たなかったという理由でこれも拒否した。それだけではない。最初の患者と同じ病室で入院していた患者だけを隔離し、同じ病棟に入院していた別の患者たちは放置した。さまざまな医療器具に患者の体液などが付着し、それを通じて同じ病棟の入院患者に感染が拡大する恐れがあると警戒していなかったのだ。今回感染が確認された患者のうち、5人は最初の患者と同じ病棟に入院していた。これら一連のずさんな対応の結果患者のうち隔離対象とならなかったのは、8人もいたことになる。しかも感染した疑いのある男性が仕事で中国に出張するのを放置し、国際的にも恥をさらしてしまった。