長江転覆:なお400人以上が不明…改造重ね重心高く
毎日新聞 2015年06月02日 23時55分(最終更新 06月03日 06時24分)
【荊州(けいしゅう)(中国湖北省)林哲平、北京・石原聖】中国湖北省荊州市の長江で転覆した大型客船「東方之星」(全長76.5メートル、船幅11メートル、2200トン)が、客室の建て増しなどで複数回にわたって改造されていたことが分かった。複数の中国メディアが報じた。風を受ける面積が広がったうえに重心も高くなり、転覆しやすい構造になっていたとの指摘も出ている。
地元メディアによると、2日夜の時点で7人の死亡が確認され、うち3人は50キロ流された地点で見つかった。14人が救助されたものの、400人以上が行方不明となっている。乗客・乗員は当初458人とされたが、456人に下方修正された。現場付近はもやがかかって視界50メートルと悪く、救出作業は難航している。
救助隊が船体をたたいた際、中から反応があったため酸素を注入している。当局は計110隻の船舶を出動させており、状況を見ながら、さらに潜水士を100人以上投入する見通し。
当局は船長と機関長の2人を拘束。船長らは調べに対し「竜巻にあおられた」と供述しているという。
中国のニュースサイト「財新ネット」によると、「東方之星」は1994年の建造後、複数回にわたって改造され、上層階の客室や防火施設などの構造が大きく変化した。
また、「21世紀経済報道」(電子版)によると、当初の設計では船は全長60メートル余りだったが、約15メートル長く建造された。
船舶専門家は中国メディアに対し、暴風の中心部などの水面上で発生して波高の高い「三角波」が起き、バランスを崩したところに強風が吹き付けた可能性を指摘している。
客船を運航する「重慶東方汽船」の元幹部は「運航開始から安全に関わる事故は発生しておらず、横風への対応能力も国の設計基準に適合し、船体検査もパスしている」と話している。