サウンドにあらゆる効果を加えてよりクオリティの高いトラックの作成を可能にしてくれるエフェクター。現代の音楽においてエフェクトを使用せずにリリースされているトラックは存在しないほどとても重要な存在です。
一口にエフェクターといっても、とても多くのエフェクターが存在して、いったい何を使えば良いのか、そもそもどのように使用すればいいのかと言う疑問をお持ちの方も多いはずです。
そこで、その様な疑問の解決にお役立て頂くために、エフェクターの基礎的な知識について説明していきます。
まず始めに、エフェクターの種類や接続方法について紹介します。
エフェクターとは
エフェクトとは、あるモノに対する効果のことで、この効果をもたらす機材としてエフェクターがあります。一般的にエフェクターは、映像や写真などのビジュアルに使用するモノと、ボーカル、ギター、ドラムなどの音楽に使用するモノが存在し、求める効果によって使用するエフェクターは異なります。
同じ効果を得られるエフェクターでもその効果や質感に違いがあり、楽器ごとに使用するエフェクターも異なるため、世の中には数多くのエフェクターが存在します。
エフェクターがなぜ必要かと言うと、サウンドへの味付けと調整が最大の理由です。
出典:Lexicon
例えばドラムの素音だけでもドラムのトラックを作成できますが、このドラムに対してリバーブと言うホールなどの反響音をシュミレートした効果を加えることで、広がりのあるドラム・トラックを作り出すことができます。
もちろんどちらがいいかは個人の判断になりますが、おそらくそれぞれを聞き比べた場合、後者のサウンドが良いと思う人は多いはずです。
このように本来のサウンドに対して効果を加えるエフェクターは、本来のサウンドの追求と言うよりは、サウンドの積極的な作り込みと言う側面が強いです。
エフェクターは、1960年代以降に多用されるようになりました。これは音楽が生演奏からスタジオ録音へ移行していったことに関係していて、ミュージシャンがエフェクターを使用した新たなサウンドを生み出すために、スタジオであらゆる実験を繰り返しました。
独自のセッティングを生み出すために、エフェクター本来の使い方は無視され、これにより製造メーカーの意図しない使用方法が主流になったパターンも多く存在します。
よってエフェクターにはある種のセオリーはありますが、正しい使い方のようなモノは存在しない、とてもユニークな存在です。
エフェクターの種類
エフェクターの形態にはハードウェアとソフトウェアの2つがあります。
出典:HOOK UP
ハードウェアはギターやベースに使用されるコンパクト・エフェクターや、サウンドの音圧や質感を調整するコンプレッサーなどのアウトボードと言われるエフェクターで、このようなエフェクターをソフトウェアにしたものをプラグイン・エフェクターと総称します。
出典:Sonnox
それぞれの違いは、サウンドの質感と接続性で、音質に関しては好みの問題となるのでどちらが良いと言う言い方は適切ではありません。
エフェクターの種類は原理別に6つに分けることができます。
- ダイナミクス系:コンプレッサー、リミッター、ノイズゲートといった主に音量を調節するエフェクター
- フィルター系:イコライザー、フィルターなどの倍音構成を変化させるエフェクター
- 歪み系:ディストーションなどのサウンドを歪ませるエフェクター
- モジュレーション系:トレモロ、コーラスといったサウンドを周期的に変化させるエフェクター
- 空間系:リバーブやディレイといったサウンドに広がりを与えるエフェクター
- マルチエフェクター:1台に上記のエフェクターが搭載されており、複数の役割を果たすエフェクター
エフェクターの接続方法
接続方法で見るとエフェクターは、歪み系や、ダイナミクス/フィルター系、モジュレーション系の一部の、原音を直接変化させるモノと、コーラス/フランジャーなどのモジュレーション系と空間系の原音にエフェクト音を加えるモノの2つに分けることができます。
ギターやベースにコンパクト・エフェクターを使用する場合の接続方法は下記のようになります。
ギターやベースにプラグインのエフェクターを使用する場合は下記のような接続方法になります。
コンプレッサー、リミッター、ノイズゲートといったダイナミクス系のエフェクターの接続は、ハードウェア・ミキサーの各チャンネルに搭載されているインサートに接続します。
インサート端子は通常、多入力の制作向けのミキサーに搭載されており、ライブなどで使用する小型のミキサーには搭載されていません。
ダイナミクス系のエフェクターとミキサーのインサート端子との接続には、1本のケーブルでエフェクトのセンドとリターンをまかなえるインサーション・ケーブルを使用します。
リバーブやディレイなどの空間系のエフェクターやマルチエフェクターは、ミキサーに搭載されている、エフェクト・センド/リターンの端子に接続して使用します。エフェクト・センドでエフェクターへ送る原音の量をコントロールし、エフェクト・リターンでエフェクトがミックスされたサウンドの量をコントロールします。
この接続方法は、マルチタイプのエフェクターが多いDJ用のエフェクターでも一般的です。
パソコンを使用した音楽制作の場合、レコーディングしたサウンドに対してエフェクトを加えるのが一般的です。この場合、オーディオはインターナルとしてソフトウェア内部で処理されるので、外部へ出力されることなくオーディオを扱うことができます。
外部へサウンドを出力した場合は何かしらの外部機器を通ることになるので、サウンドはその影響を受けることになりますが、その様な影響を与えたくない場合は、インターナルでの処理をお勧めします。
逆にパソコンのサウンドがクリアすぎるので粗くしたりして味を加えたいと言う場合は、エクスターナルでの処理としてハードウェア・ミキサーやハードウェア・エフェクターなどの外部機器へサウンドを送ると言う方法もあります。
使用するエフェクトや、サウンドの経路を変えることで異なるサウンドを得ることができるので、スタイルや求めるサウンドによって、無限の方法が存在します。
突き詰めるときりがない、それがエフェクターです。
音楽制作用のホストアプリケーション・ソフトには上記で紹介したエフェクターが標準で搭載されており、各エフェクターごとにテンプレートのファイルも付属されているので、誰でも簡単にその効果を実感することができます。
付属されているエフェクターを試して、エフェクターがいかなるものかを理解するには最適かと思いますので、音楽制作用のホストアプリケーション・ソフトをお持ちの方はぜひお試ししてみてはいかがでしょうか。