更新日:2015.06.01
アップルウォッチハッカソンの潜入レポート、2日目。いよいよ審査結果の発表です。各チーム、どんなアプリが出来上がったのでしょうか。初日の様子は日本初のApple Watch ハッカソンが開催!潜入レポをお届けをご覧ください。
2日目。朝9時スタート。早朝から集まり、みんな真剣な表情でPCに向かっています。
議論も白熱、チームワークも大事です。
なんと自転車を持ち込んでいるチームも出てきました。自転車に何か装着していますが、どんなアプリができるのでしょう。
今回審査をお願いするのは、株式会社Shift(シフト)の代表取締役、丹下大さん、株式会社Draper nexus Venture Partnersの中垣徹二郎さん、モデルの道端カレンさん、株式会社オムロンヘルスケアの船尾公喜さんという蒼々たるメンバー。
左から道端カレン、丹下大、船尾公喜、中垣徹二郎
どんなアプリを開発したのか、プレゼンの順にご紹介していきましょう。
彼らが提案したのは、赤ちゃんを育てている親のための育児支援アプリ。子育て中のイクメンが開発チームにいたことがきっかけになったようです。
子育て中のイクメンデザイナー
赤ちゃんにミルクをあげた時間や量を記録できたり、タイマーでオムツ替えの時間をセッティングしておくと、その時間になったときアップルウォッチが手首を叩いて教えてくれるというもの。
しかも、このアプリがユニークなのは、ミルクやおむつの時間と量を、リアルタイムで夫のアップルウォッチに送れるところ!ママの大変さをいくら言ってもわかってくれないパパにも、リアルタイムでデータがくれば、「夜中も起きてミルクをあげているんだ」とわかります。
審査員のカレンさんのコメントは、
「赤ちゃんの子育ては本当に大変。男性は数字で見せると納得するから、ダンナさんにミルクやオムツ替えの情報をデータで見せられれば、おかあさんの苦労もわかってもらえると思います」
なっぱチームが製作したのは、仕事中やランチ後の睡魔に打ち勝とう!、という眠気打倒アプリ。
パルスオキシメーターという脈拍数や血中の酸素濃度を測るシステムを導入し、眠いときに画面をタップして、そのときの脈拍数や血中の酸素濃度と眠気の関係をモニターします。そうやって1週間くらい、眠くなる時間やタイミングのデータをアップルウォッチに蓄積。
そうすると、食後など眠くなる時間帯になると、「からだを動かしてください」というようなメッセージが届くというもの。
1週間のうちにどれくらい眠くなるかがわかったり、先週よりも眠くなる回数が減っていれば、「疲れがたまっていない」「よく眠れている」というように体調管理の目安にもなるというわけ。
しかも、育成ゲーム的な要素をプラスして、眠くなってくるとアップルウォッチに設定したペットが弱ってくるしくみ。そのペットを救いたいなら、眠気に打ち勝ってアップルウォッチをタップしないとなりません。
このアプリを進化させれば、たとえば糖尿病や心臓病などと戦う人たちの体調管理にも役立てることができるそうです。
デモを体験するカレンさん
たとえば、仕事が早く終わった日の週末。ひとりでご飯に行くのもつまらないから誰かを誘いたい。だけど、当日の誘いじゃ、ちょっと気が引ける。
そんなとき活躍するのが、このアプリ。余分な前置きをせずに、サックリ二択で返事がきけるのです。
たとえば、こんな感じ。
「飯行かない?」 Yes or No
「遊ぼ」 Yes or No
「お金かして」 Yes or No
スマホでのコミュニケーションを、さらにシンプルに必要な機能だけを残したというこのアプリ。今の段階ではYes or Noの二択しかできないそうですが、将来的には、ユーザーが選択肢を自分で作成できるようにしたいそう。
「おひる、どうする?」 ラーメン or うどん
「引っ越し、手伝って」Yes or OK(!?)
といったふうに。
また、音声機能を使ってノータップで意思伝達ができるようにしたり、日時や場所のデータなどもつけられれば、もっと活用範囲が広がるということでした。
審査員のコメントとしてカレンさんは
「私、これ、使いたい! <デートしよう?>とか気軽に聞けていいですね。ただ、男性はシンプルなのが好きだけど、女性はもっと話したいと思うかもしれないですね」
これはゲームとリアル世界を融合させた、スゴいアプリです。
発想の元にあるのは珍天堂ならぬ任天堂のアクションレースゲーム、マリオカート。そのマリオカートとスポーツとヘルスケアを組み合わせて出来上がったのが、このアプリなんだそう。
通常の自転車レースなら、いちばん速い人が勝つわけですが、このチャリオカートはうしろのほうを走っている人でも、アイテムを使って、前に出て行くことができます。誰でも逆転できるチャンスがあり、まさに自転車バトルのためのアプリケーション。
自転車にはそれぞれアップルウォッチからの指令を受けるデバイスを装着、そして腕にはもちろんアップルウォッチをつけてスタートします。
アップルウォッチ上のマップには、ポイントとなる場所が指示されていて、そこを通過すると、GPSからアプリにあるルーレットが自動的に作動。タッチして止めると、止まったところのアイテムが使えます。
GPSでアイテムが表示される
アイテムのバナナ
たとえば、誰かが自分を追い越したとしますよね。すると、次のポイントでルーレットが回りだし、止まったところがブレーキのアイテムだったとしたら、自分を抜かした自転車に5秒間のブレーキをかけて、相手の自転車のスピードを落とすことができるのです。
加速させるアイテムもあり、ルーレットでそのアイテムをゲットできれば、自分の自転車を一気に加速させることも可能。
自転車100台ぐらいで自転車バトルレースをやってみたいと、チームのメンバーは語っていました。
審査員の船尾さんは
「レンタサイクルなどで、みんなで楽しめるアトラクションゲームとしてやるのは面白いですよね」
中垣さんも
「街全体を使った自転車レースにすれば、街起こしにもいいんじゃないかな。ルーレットの中身を替えて宝探し風にしたり、その街の文化遺産をポイントに使ったりして、面白い自転車ゲームができそう」
このアプリは、心拍数の状態を見ながら、自律神経が緊張状態にあるのか、リラックス状態にあるのかを測ります。緊張状態にいると、アップルウォッチの画面に赤いランプがつくしくみ。
実際に自分でツボ押ししたり、人にマッサージをしてもらったりすると、ランプが赤から緑に変わり、自律神経がリラックス状態になったことがわかります。
また、コミュニケーションツールとしても使えるそう。お互いにアップルウォッチをつけて握手すると、握手によって緊張状態からリラックス状態になったことが目で見てわかるのです。
子供とのふれあいツールにもなれば、合コンなどで遊び系ツールとしても楽しめそう。好きな人と握手する口実もできちゃう! まさにひとりでもみんなでも使えるヘルスケアアプリなわけです。
以上の5つのチームの発表が終わりました。
あとは審査結果を待つばかり。
そして、いよいよ結果発表!
選考の総評をする丹下さん
まずは、3位「ツボをおさえているで賞」の発表です。アップルウォッチならではの機能を生かしたアプリ開発ができているということで、受賞チームは、タッチボンヌチーム!
「ウォッチじゃないとできないサービスが欲しいと思っていたなかで、腕にウォッチをつけて体の状態を測りながら、マッサージやコミュニケーションをとるというのは、まさにアップルウォッチならではのアプリだと思います。」
賞品は、見事にツボをおさえていただいただということで「ツボ押しグッズ」でした。笑
自転車まで絡めたプロダクトを作り上げたレベルの高さに審査員も驚きでした。
「非常にレベルが高くて驚きました。デバイスとのコミュニケーションの可能性を感じました。
ヘルスケアのデバイスのアプリも開発してもらいたい」と総評をくださったのはオムロンヘルスケアの船尾さん。
賞品はオムロンさんのヘルスケアグッズです。
そして、待望の1位「カレン賞」の発表です!
「純粋に自分自身もやってみたいと思ったアプリでした。審査員の中でも評価が高く、全員一致でこのアプリに決まりました」とカレンさん。
受賞チームのメンバーにインタビューすると、
左から:株式会社イノーバ 瀬川氏、ザーズ株式会社 川口氏、株式会社ベーシック 吉井氏
「まさか僕たちのチーム名が呼ばれるとは思っていませんでした。良くて3位狙いだったので、3位がダメだった時点であきらめていました。僕らはシステムの実装がうまくいかなかったのですが、アイデアが評価されたことがとてもうれしいです」
アップルウォッチのハッカソンは大成功をおさめたのでした。
文:編集部ライター J.O
写真:たつろう