伊藤宏樹、黒田壮吉、鎌田悠
2015年6月1日13時48分
避難した子どもたちに、笑みがこぼれた。鹿児島県屋久島町の口永良部島・新岳の噴火で、屋久島に避難している町立金岳(かながたけ)小・中学校の子どもたちが1日、屋久島の学校に初登校した。校内を見学し、期待に胸を膨らませた。
午前9時半ごろ、子どもたちと教職員の大半が避難する同町宮之浦の避難所から、児童8人と生徒5人が受け入れ先の町立宮浦小学校と中央中学校へと向かった。保護者らも付き添った。
宮浦小の校門近くでは在校生らの出迎えを受けた。中央中では校門付近で教職員らに「大丈夫?」と声をかけられ、笑顔を見せる子もいた。
「みんなが出迎えてくれてうれしかった。早く慣れて仲良くなりたい」と小学6年の貴舩(きぶね)桜さん(12)。授業中の教室を見学し、図書室で本も借りた。「金岳中にはない本もあってすごかった。合奏など大人数でしかできないこともしてみたい」と笑顔で話した。
姉で中学3年の楓(かえで)さん(14)も「たくさん友達をつくりたい。人数も多いので、スポーツも本格的なものができる」と語った。
鹿児島県と同町は5月30日、避難する子どもたちを屋久島の小中学校で受け入れると発表した。学ぶ場は確保されたが、児童・生徒数は金岳小が10人、金岳中が6人と町内で最少。一方、宮浦小は約260人、中央中は約190人と町で最も多く、環境は大きく変わる。
30日に避難所であった保護者や教職員らの意見交換会では「慣れない教室で学ぶのは精神的負担が大きい」「金岳小・中の子どもたちだけでクラスを作れないか」と声が上がった。子どもたちも「たくさんの人に慣れられるかわからない」(中学1年の女子生徒)、「また友達を作るのが大変だな」(男子児童)といった不安を登校前に口にしていた。
新しい環境に慣れてもらおうと、この日は校内見学にとどめた。子どもたちは2日に全校集会で在校生らと対面し、3日から本格的に授業を受け始める。
登校に付き添った金岳小・中の木尾(このお)良文校長(53)は「子どもたちの表情が笑顔になって、うれしくて……」と声を詰まらせた。(伊藤宏樹、黒田壮吉、鎌田悠)
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