報道によると、その男が設立した教団には東京と大阪を中心に100人以上の信者がいるらしい。この男は信者向けの集会で「日本の寺社を油で清め、日本人の心を古い慣習から解放する」などと言い、2年ほど前から各地の城や神社に油をまいていたことを語ったようだ。そして、3月下旬に香取神宮の建物に液体を投げつける姿が防犯カメラに写っていたことから、建造物損壊容疑での逮捕状に至った。
金山昌秀氏の説教動画(IMMのサイトより)
◆容疑者はIMM創立者の金山昌秀氏か
ネット上では、その男と思われる人物の情報が出始めている。その人物とは、IMM(インターナショナル・マーケットプレイス・ミニストリー)というキリスト教系宣教団体を2013年に創立した金山昌秀氏。IMMのサイトによると、金山氏の肩書きは以下のようである。
IMM JAPAN創立者、ディレクター 金山昌秀曰く、「東京出身。17才の時イエス・キリストと個人的に出会いクリスチャンとなる。神様からクリスチャンドクターとしての使命を受け渡米、医師となる。また、自らもマーケットプレイスミニスター(宣教師)であり、イエス・キリストの証人として世界各国の教会、ミニストリーから招待を受け遣わされている。」とあり、ニューヨークで産婦人科の医師として働く傍ら、キリスト教の宣教師としても活動しているようだ。
ニューヨーク子宮内膜症センター所長
米国産婦人科学会認定専門医
ニューヨーク Mount Sinai 医大生殖医学科臨床助教授
Johns Hopkins大学医学部病理学客員研究員
Global Koinoniaミニストリー(ノルウェー)理事及び国際顧問
「マーケットプレイスミニスター」とは聞きなれない言葉だが、IMMによると、一般信徒が職場や家庭や学校を通して宣教活動をすることのようだ。IMMは今後、リバイバル聖会、伝道聖会、大学生集会、医療聖会、ビジネス聖会などといった宣教集会を開き、日本宣教、さらには世界宣教を目指しているらしい。サイトではIMMのマネージャーとして国内大手電機メーカーの管理職社員も紹介されている。
IMM日本オフィスとして新宿野村ビル32階が書かれているが、この新宿野村ビル32階にはサーブコープというバーチャルオフィス等を提供している会社があるため、IMMはそのようなバーチャルオフィスを利用していることも考えられる。実際には、お茶の水クリスチャンセンターを利用しての活動などが行われているようだ。
IMMサイトでは金山氏の説教動画も公開されている。記者が動画を少し見てみたところ、金山氏が医学部に入る際に書いたエッセイで「これからの本当の医学は、東洋医学でも、西洋医学でも、科学的医学でもなく、イエス様による癒しだ」と書いたことなどを語っていた。医師としてどのような医療を行っているのか、不安も感じさせられる。
◆金山氏の「霊の戦い」
また、「IMM決起集会の報告」というページには以下のような記述がある。
「日本の霊の戦いでは、ここ2年間、立山、石鎚山などに行きましたが、先日 ”日本の君”の所に行き、主に語られた霊の戦いを終えることができました。3回目は九州、4回目の今年5月には、のろわれた城、灯台、のろいの石、怪物のいる洞窟(九州)、このような場所からのろいが出てくるのです。」金山氏によると日本各地には「のろいの地」があり、彼はそこから出てくる「のろいの霊」と戦ってきたことを語っている。城や寺社に油をまいたのも、その一環だったのであろうと思われる。「”日本の君”の所」という言葉が指しているのは、京都御所、あるいは皇居であろうか。
ちなみにキリスト教では、油は特別な意味を持つ。元々、キリストという言葉は、ヘブライ語ではメシアにあたり、「油を注がれた者」を意味し、聖書にはダビデ王が就任する際に油を塗られたことなどが書かれている。金山氏も日本の寺社に対して、そのような宗教的な意味合いを込めて「油で清め」たのかもしれないが、重要文化財に対して簡単に落とすことのできない油を勝手にかけるという行為はあまりに身勝手な行動だ。
◆2007年ターリバーン韓国人拉致事件との関係
ターリバーンに拘束された韓国人宣教団
カルト問題に詳しい、村上密氏のブログによると、金山氏は2013年にインターコープ国際宣教理事の肩書で講演を行ったらしい。このインターコープという団体は、非キリスト教地域に対して海外宣教を行う韓国で設立された宣教団体だが、2007年にアフガニスタンでキリスト教の宣教を行った韓国人23人がイスラム過激派ターリバーンに拘束され、うち1人が殺害された事件にも関わっていたようだ。
韓国のメディアによると、このアフガニスタン宣教で現地案内を担当したのがインターコープであり、インターコープは「(海外布教において)優越的、征服的、排他的、一方的、誇示的、競争的」であり、「排他的な過激団体でキリスト教以外の文化財を破壊する恐れあり」と評されている。「キリスト教以外の文化財を破壊」とは、まさに金山氏の行為とも通じるところだ。
◆5年前からやっていたとの情報も
また、ネット上には金山氏のことを知る人物によるものと思われる書き込みもあった。4月末の時点で、ニュースブログ「オレ的ゲーム速報@JIN」内の寺社油被害を報じた記事に対して以下のようなコメントが書かれていた。
- 117 名前: 名無しオレ的ゲーム速報さん 2015年04月30日 09:13 返信する
- 5年前くらいに、「日本神道の首を折る!」と言って、富士山初め色々なところに行って香油や聖水を撒いている牧師さんなら知っている。
お伊勢さんにも行くと言っていた。
直接関わりはなかったのだが、地元の牧師さんが「素晴らしい人がいる」と、その講演のCDをその教会に通っている人たち皆に渡してくれたそうだ。
うちでは、「気持ち悪い」と、直ぐに捨てられたので、正確な名前も覚えていない。
自称ニューヨークで医師をしている、在日韓国人の牧師さんなのだが、キリスト教の人たちは騙されちゃって、心酔しているようだ。
その人本人ではないけど、その話を聞いた信者がやっているかも・・・?
- 118 名前: 名無しオレ的ゲーム速報さん117 2015年04月30日 09:16 返信する
- その在日牧師さんも微妙なんだよね
一応、日本に害を成すためではなく、日本が精神的に高い位置に居るので、日本から世界にキリスト教を広めるべきだという詭弁を使っていたそうだから
このコメントに書かれている人物は、日本神道と戦って各地で香油をまいている牧師ということで金山氏と符号している。コメント内には牧師が在日韓国人とあるが、金山氏も帰化した在日3世との情報もある。このコメントによれば油などを撒く行為は5年ほど前から行われていたことになる。
日本テレビが犯人と思われる男に突撃インタビューを行い、記者が「重要文化財に液体をまいた事件について関与の疑いがありますけれども、お心当たりは?」と尋ねたところ、男は「ありません」と、容疑を否定したようだ。
記者もIMMに電話をしてみたが、誰も電話に出なかった。
千葉県警は男の帰国を待って事情を聞き、逮捕する方針とのことで、今後の行方が注目される。
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