伊藤誠、西村宏治、溝呂木佐季
2015年5月30日17時59分
けいはんな学研都市の京都府精華町に、サントリーホールディングスが27日、新たな研究所を開いた。約400人が働き、健康科学や環境緑化などの分野で世界最先端の研究をめざす。
「サントリー ワールド リサーチセンター」は4階建てで、これまで大阪府島本町の3カ所に分かれていた研究拠点を集めた。投資額は約100億円。サントリーが強みを持つ水、食品、植物、微生物などの分野を研究する。館内には共用の実験室や議論のスペースを設けるなど、分野の異なる研究者も対話しやすい設計にした。
研究所ができた地区は、国立国会図書館関西館や大手企業の研究所が立ち並ぶ。構想から40年近くなる学研都市は、施設の立地が進まずに苦しい時期もあった。規制緩和や自治体の支援などもあり、最近は新施設がじわりと増えてきた。
■大学・企業が交流
京都府精華町にできた研究施設「サントリー ワールド リサーチセンター」で記念式典が27日開かれ、約150人が参加した。
「グループの発展にとって、研究開発は一番重要な要素。ここで種をつくりあげ、世界に広めたい」。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は記者会見で力を込めた。京都府の山田啓二知事は「学研都市が日本のイノベーション(技術革新)の中心地となる未来に、大きな希望をもてた」と話した。
4階建ての研究所は、約4万9千平方メートルの敷地に立つ。敷地内に壁や柵を設けず、建物内は吹き抜けを生かした開放感ある空間にした。従業員の決まった自席がない「フリーアドレス」方式を採用。施設内はセキュリティーの基準を複数設け、近くの大学や企業の研究者らも入館して交流しやすい「コラボスペース」を設けた。同社は川崎市に持つ「商品開発センター」とも連携させ、新商品開発につなげるねらいだ。
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