日本の安倍晋三首相は今月20日の国会で「ポツダム宣言を認めるのか」という野党議員の質問に対し「ポツダム宣言をつまびらかに読んでいないので、直ちに論評することは差し控えたい」と答弁した。これについて、参議院議員を務めたことがある慶応大学の松井孝治教授は「安倍首相には『ポツダム宣言も読んでいない(のに戦後体制からの脱皮を語る)総理』というレッテルが貼られることになった」と主張した。ポツダム宣言とは、日本にどのような意味をもたらしたものなのだろうか。
ポツダム宣言は、第2次大戦終結直前の1945年7月26日、連合国が日本に対し、戦争を起こした過ちや責任を認め降伏するよう求めた文書だ。米国のトルーマン大統領、英国のチャーチル首相、中国の蒋介石総統がドイツのポツダムで会談を行い、このような文書を作成した(原文ママ)。その骨子は「世界の人類と日本の国民に対し犯した罪を償い、無条件降伏するように」というものだった。
ところが日本はこれをすぐに受け入れなかった。結局、米軍が日本本土に原子爆弾を投下した後になって、日本はポツダム宣言を受諾した。ポツダム宣言は戦後日本の出発点であり、戦後の世界の秩序を確立するという意味が込められたものだ。
だが、安倍首相は(就任前の)2005年、あるメディアとのインタビューで「米国が原爆を投下し、日本に惨状を引き起こした後、日本に対し『どうだ』と言わんばかりに突き付けたのがポツダム宣言だ」という、事実と異なる主張を繰り広げた。原爆投下以前に同宣言が出されていたにもかかわらず、「歪曲(わいきょく)した歴史」を語ったというわけだ。今月20日の国会で「ポツダム宣言を認めるのか」という質問に対し「つまびらかに読んでいない」と答弁したのも、同宣言を認めたくなくて、即答を避けるために言い逃れたのではないかと指摘する声も出ている。