シャープは今月14日、中期経営計画の中で3500人の希望退職者を募集すると発表した。7月下旬から募集を開始し、9月末に実施する見通しだ。国内ではシャープ退職者を対象にした採用強化の動きが既に始まっている。しかし、かつては日本人技術者の採用に血眼になっていた海外メーカーからのラブコールはあまり聞こえてこない。
「年度末までに10%の人員を削減し、スリムな人員体制を目指していきます」
今月14日、東京都内で開かれたシャープの中期経営計画説明会。高橋興三社長は神妙な面持ちで、国内3500人の希望退職と、海外拠点の縮小に伴う人員削減を実施すると発表した。人員削減や本社の売却、賞与カットなどで2016年3月期に約285億円の収益改善を目指す。
シャープの大規模な希望退職は2012年に2000人を募集して以来。今回最終損益が2223億円の最終赤字となり、またも人員の削減に手をつけざるを得なくなった。
「前回は再建を信じて(希望退職に)手を挙げなかったが、今回は申し込むかもしれない。家族と話しているところ」。シャープに現在勤める社員からはこんな声も聞こえる。
気になるのはシャープを辞める約3500人の社員の行方だ。会社側は再就職支援を実施するとしているが、彼らの再スタートはうまくいくのだろうか。
大口開けて待つアイリスオーヤマ
狙いを定めている1社が生活用品大手のアイリスオーヤマだ。
アイリスオーヤマは空調家電やキッチン家電など、いわゆる白物家電を幅広くて手掛けている。高性能ながら安い価格設定などが消費者に受け事業は拡大しているが、成長を支えているのは大手家電メーカー出身者だ。
現在大阪にあるR&Dセンターでは約30人の社員が働いている。内訳をみると元パナソニック社員が3人、元シャープが3人、元三洋電機が1人。シャープは2012年にも希望退職を実施しており、その際、シャープに見切りを付けた人も含まれている。
「今回もシャープの退職者を狙い、中途社員の採用活動を強化しようと思っています」。シャープが希望退職の実施を発表した当日、アイリスオーヤマから記者にはわざわざそういう連絡があった。同じようなことを他のメディアにも説明しているようで、向こう受けを狙った面は少なからずあるが、2016年12月までに最大70人の技術者を中途採用するという。
一方、国外メーカーからの引き合いはどうだろうか。実はこれまでとは異なる動きが広がっている。