今大会で韓国代表の監督を務めたのはある地域協会の専務理事2人だったが、いずれも現場で選手たちの競技指導をする専門のコーチとはいえない人物だ。
韓国各地の広域市協会や道協会の役員が交代で国際大会の監督を務めるのは、大韓テコンドー協会で長く続いている慣例だ。ある国際大会で総合優勝すれば、その監督には体育発展有功者の勲章や褒章を得るための点数が与えられるが、これこそが監督が持ち回りとなる理由に他ならない。そのため実際に代表チーム全体の指導を担当するパク・チョンマン総監督は、今大会はトレーナーとして登録されている。
最近はビデオカメラ程度ならさほど高価ともいえないはずだが、韓国代表はそれさえ1台も使わず対戦相手の分析を行っている。今大会で分析担当として代表スタッフに加わったある実業団チームの監督が実際にやった仕事は、メモ用紙に数行書き込むことだけだった。ある代表選手は「自分が出場する階級ではどの選手が強敵なのかさえ分からないまま試合に臨んだ」と語る。
英国、イラン、タイなどテコンドーの新興国が現在力を入れているのはユースの育成だ。中でも12-14歳の年代には指導面、資金面の双方で多くの力を注がねばならない。ところが大韓テコンドー協会にはユース育成のための仕組みも組織もない。協会は予算が不十分などと言い訳するが、テコンドー協会の年間70億ウォン(約7億7000万円)の予算は決して少ない額ではない。4年ごとに予算を執行している英国では、年間の予算は韓国の半分以下となる30億ウォン(約3億3000万円)ほどだ。
今大会で韓国は四つの金メダルを獲得し、かなりの好成績を残した。これは他国に比べて選手層が厚いことと、国内での代表争いが激しいこと、さらにスパルタ式の厳しいトレーニングがもたらした成果だ。しかし宗主国としてのプライドを今後も守り続けるには、代表チームの運営方式についても世界各国から注目され、学びたいと思われるようなレベルに引き上げなければならないのではないだろうか。