NPT最終文書:被爆地訪問提案を削除、中国大使が提案

毎日新聞 2015年05月13日 11時37分(最終更新 05月13日 11時41分)

核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、世界の指導者らの被爆地訪問という日本提案の削除を求めた中国の傅聡軍縮大使=国連本部で12日、草野和彦撮影
核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、世界の指導者らの被爆地訪問という日本提案の削除を求めた中国の傅聡軍縮大使=国連本部で12日、草野和彦撮影

 【ニューヨーク草野和彦】核拡散防止条約(NPT)再検討会議で交渉中の最終文書について、中国の傅聡軍縮大使は12日、国連本部で毎日新聞の取材に応じ、世界の指導者らの広島、長崎の被爆地訪問という日本提案の削除を求めたことを明らかにした。大使は理由を「提案は日本が第二次大戦の犠牲者であるかのように歴史をゆがめることが目的だからだ」と述べた。

 日本の提案は8日配布の初回の最終文書草案に盛り込まれていたが、大使は11日の非公開会合で削除を要求。12日配布の2回目の草案から削除された。韓国代表も大使の発言を支持したという。

 大使は「広島、長崎へのいかなる言及も受け入れないと日本側に伝えた」と述べ、こうした文言が盛り込まれた最終文書には同意しないことも明言した。再検討会議は全会一致が原則。歴史認識問題が核軍縮の議論にも影を落とす形となった。

 指導者らの被爆地訪問の提案は、岸田文雄外相が会議初日の先月27日、一般討論演説で発表。初回草案には「被爆70年にあたり、核兵器使用に伴う破壊的な人道的結末の実相を目撃し、被爆者の証言を聞くという提案に留意する」と書かれた。

 傅大使は「生存者(被爆者)の状況には同情するし(核兵器反対という)人道的な理念には異議は唱えない」と述べる一方で「日本は第二次大戦の加害者だ」と強調。従軍慰安婦問題や南京大虐殺を指摘した上で「日本政府は朝鮮、中国、東南アジアでの日本軍の残虐行為を何度も否定している」と非難し「第二次大戦の部分的な説明や解釈を国際社会に押しつける権利はない」と主張した。

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