経営者はどこまで
マーケティングに関わるべきか
ザ・マーケティングCEO【第1回】
早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる人気連載「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。11人目にご登場頂くのは企業変革のマネジメント、リーダー育成・リーダーシップ、ビジネス・マーケティングがご専門の今村英明客員教授だ。「ザ・マーケティングCEO」をテーマに、全3回でお届けする。経営層のマーケティングへの関与が近年重要視されつつある。では実際に、企業経営者は自分自身の意識と時間をどれほどマーケティング活動に投入しているのだろうか。「マーケティングCEOスペクトラム」を示しながら考える。
重要度が高まる「経営的マーケティング」
今村 英明(いまむら・ひであき)
経営者が直接マーケティングに関与する「経営的マーケティング」の重要度はかつてないほど高まっている。
企業経営職の一つに、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)があり、「最高マーケティング責任者」などと訳されている。CMOは、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CIO(最高情報責任者)などと並び、経営トップ層を構成する役職の一つで、企業のマーケティング全体に関して責任を持つ。これまで日本では、CMOの導入企業数はきわめて少ない。CMO研究の第一人者である神岡太郎教授は、「米国ではフォーチュン500企業の62%がCMOを持っていると言われるが、日本企業では多く見積もっても5%前後だろう」と述べている。2013年のIDCジャパン調査でも、CMOを設置している国内企業は3.9%に過ぎない。
ただ最近日本でもCMO設置企業がじわじわ増えているのは確かである。例えば、上場企業役員データベースで最近3年間のCMO設置・異動が公表された企業を見ると、日本電気、日立製作所、日立ハイテクノロジーズ、富士通、ブリジストン、リコー、帝人、LIXILなどの企業名が挙がってくる。マーケティングというと花王やサントリーなど消費者を主対象とするB2C企業の御家芸という印象が強いが、今までマーケティングと縁遠いイメージだったこうしたB2B主体の多角化大企業でも、経営レベルでマーケティングを統括する職位を導入してきているのである。
筆者が実際に最近CMOを導入したB2B企業にヒアリング調査をしてみると、CMO導入の背景として、以下のような共通要因が挙がっている。
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