米国債:30年債利回り、13年以降で最大の上昇
2015/05/12 06:48 JST
(ブルームバーグ):11日の米国債相場は急落。30年債利回りは2013年以降で最大の上昇となった。3週間に及ぶ世界的な国債売りがさらに加速しており、米国でも買い控えの動きが広がっている。
ドイツ国債などユーロ圏の国債は下げを拡大。そうした状況を手掛かりに米30年債利回りは昨年11月以来の高水準を付けた。前週は社債発行に伴う引き受け会社のヘッジ行動が影響し、価格のボラティリティが2カ月ぶり高水準に達した。米財務省は今週、発行総額640億ドルの中長期国債の入札を実施する。
CRTキャピタル・グループの政府債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「この動きを阻まなければならないと考える人はいない」とし、「このボラティリティの高まりで、市場では積極的なポジション取りを控える動きが広がっている」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、30年債利回りは前週末比14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.04%。同年債(表面利率2.5%、2045年2月償還)価格は2 18/32下げて89 14/32。
30年債利回りの上げ幅は、22bp上昇した13年7月5日以来で最大。
10年債利回り10年債利回りは13bp上昇の2.28%と、終値ベースで12月5日以来の高水準。同利回りは5日連続で200日移動平均を上回って推移した。
ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「テクニカル面での水準が崩れつつあり、それが一段の売りを呼んでいる」とした上で、「流動性の欠如と商いの薄さが背景にある」と続けた。
米国債のボラティリティを測るバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのMOVE指数は6日に90.99と、3月3日以来の高水準を付けた。
米国債は前週末に戻したものの、BOAメリルリンチ・グローバル・ブロード・マーケット・ソブリン・プラス指数は過去1カ月に1.6%下げた。
中国が10日に利下げを発表したことも米国債に影響した。原油価格が6年ぶり安値から回復する中で中国の利下げは世界的なデフレ圧力の抑制に寄与する可能性があり、つまりそれは債券の妙味低下を意味する。
欧州債相場キャンター・フィッツジェラルドの金利トレーディング責任者、ブライアン・エドモンズ氏は、市場が「インフレを懸念し始めている」とし、「市場参加者は若干慎重になっている。欧州はやや圧力を受けている」と指摘した。
欧州債相場はこの日下落。スペイン10年債利回りは8bp上昇した。過去2営業日では23bp下げていた。独10年債利回りはこの日6bp上げて0.61%。
ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は「最近はドイツ国債の動きに合わせて米国債も動いている」とし、「欧州と比較すると米国債にはなお価値があるが、変動もまだかなり大きい」と続けた。
原題:U.S. 30-Year Yields Up Most Since 2013 as Global Selloff Extends(抜粋)
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更新日時: 2015/05/12 06:48 JST