数字では単純に比較できない「リッチ度」

アメリカでは、全体の1%がお金持ちだと言われています。しかしその1%のなかでの差は非常に大きく、お金持ちとされる人のほとんどが、毎日お金の心配をしながら生活しているのだそうです。その理由はいったい何なのでしょうか? アメリカに移住し、洋書のレビューやエッセイの執筆など幅広く活躍する渡辺由佳里さんの連載。第4回は、日本のものさしでは計れないアメリカのリッチ度について解説していきます。

アメリカではどこからが「お金持ち」?

ここまで、オールドマネーとニューマネーという、アメリカの2種類のお金持ちを紹介してみました。しかし、そもそもアメリカではどれくらい収入や貯蓄があれば「お金持ち」ということになるのでしょう?

アメリカでは、「最もリッチな1%がアメリカ全体の富の40%を所有している」といったデータがよく話題になります。アメリカ人だけでなく、全世界の人々が「贅沢三昧の生活をしていても老後の心配がなく、次世代に富を残し、自分の都合がいいように政治を動かしてズルい」と悪意を抱くのがアメリカのトップ1%なので、ここに達したら金持ちといって良さそうですね。

けれども、心理学者を経て投資アドバイザーになったPhile Demuth によると、トップ1%の大半は、残りのアメリカ人と同じように、毎日お金の心配をしながら生きているというのです。

Demuthは、最もリッチな1%とは、年収が課税前で39万4,000ドル、あるいはliquid assets(現金や株など流動的な当座資金)で150万ドルと言っています。

日本円に換算すると、現在のレートでそれぞれ約4700万円、約1億7900万円。相当な金額に感じますね。

でも、異なる国の収入を単純に比べることはできません。

まず、為替レートの変動の問題があります。円の最高値(1ドル=75.54円)のときと最安値(1ドル=121.85)のときでは、アメリカ人にとって同じ40万ドルでも、日本人の感覚では3000万円に対して4900万円と大きな差があります。

なにかとお金がかかる国・アメリカ

そして、日本とアメリカでは社会保障が異なります。アメリカはただ生きているだけでお金がかかる国なのです。

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okadaic この連載、面白いなぁ。米国製ドキュメンタリーを観てても持てない視点。/ [今だけ無料]数字では単純に比較できない「リッチ度」|アメリカはいつも夢見ている|渡辺由佳里 @YukariWatanabe |cakes(ケイクス) https://t.co/promtWtWYG 6分前 replyretweetfavorite

ittetsu_mum これがアメリカの現状。本当にそう。 by @YukariWatanabe https://t.co/KpYwBqeJUk 約1時間前 replyretweetfavorite

iGCN “数字では単純に比較できない「リッチ度」|アメリカはいつも夢見ている|渡辺由佳里|cakes(ケイクス)” http://t.co/mqrR8goI8d 約4時間前 replyretweetfavorite

pebbles0201 その通り。収入が日本とは比較にならないくらいあってもアメリカでは庶民生活です。https://t.co/qvwVEDsf3e 約11時間前 replyretweetfavorite

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