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ビートラックスがサンフランシスコから最新情報を配信中

  • Minori Doi

    Minori Doi

    I used to guide people around Harajuku and hot spots. I’m passionate about cooking Japanese traditional food and sweets. Thinking deeply about the relationships between cultures.

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なぜ米国サードウェーブコーヒーは日本を目指すのか

海外の人々から見ると、日本の消費者は世界一厳しいと思われがちです。少しでも傷があるとクレームをつけ、返品することもあります。一方、こちらアメリカでは傷が付いていようが、黒くなっていようが、消費期限が切れていなければ定価で売られることも少なくありません。こういった側面から見ると、アメリカから日本に進出する際のハードルは低くないように思われます。

しかし、こういった事実があるにも関わらず、最近、日本にアメリカのお店がオープンする例がよく見られます。目新しいものといえば、サンフランシスコ発のブルーボトルコーヒー。2015年2月に清澄にて日本第一号店が開店され、翌月の3月には青山に第二号店が開店されました。それに加えて、他のサードウェーブと呼ばれるカフェの幾つかが日本市場への進出を発表しています。

コーヒーが日本に進出したのはここ最近の話ではなく、スターバックスが1996年にシアトルから、アイランドヴィンテージコーヒーが2013年にハワイから日本上陸しています。このように、アメリカから進出した会社は日本で多々見られますが、どのような理由がそこにあるのか見ていきたいと思います。

なぜ日本市場が選ばれるのか?

日本は食のメッカと言われており、ここ数年間、日本における海外から進出しているお店などの定着をいかに日本らしさを失わずに構え、またむしろオリジナルのものよりも良くしているか、ということが多く話されています。アメリカですでに人気があるお店もアメリカ国内ではなく、日本に進出しようというところが目立ってきました。ハンバーガーだと有名なShake ShackやThe City Bakeryなどでしょうか。

特に東京はアメリカの料理文化意識が高い場所として見られています。この日本への進出後の対応や東京という場所。この2つも大きな要因になっていると言えるでしょう。

アメリカ人から見る日本という概念

日本の消費者とアメリカの消費者の大きな違い

日本人はアメリカから来たものは斬新でクールというイメージを持つ傾向があります。アメリカから新しいものが来たことを知ればすぐに行列ができることからも分かるように、日本人は新しいもの好きでもあります。逆に、アメリカ人は日本の技術はすごいと称賛しています。アメリカ人が称賛する日本のものの一つとしてDAISOなどの100円均一ショップの商品があげられます。アメリカでは、新しいものに食いつく、というよりは良いものを求める傾向があるように思われます

DAISOは100円にして信じられないほどよくできていて、かつ便利であること。イギリスには1ポンドランド、アメリカには1ドルショップなどがありますが、クオリティはやはり日本のものが1番と言われています。btraxがあるサンフランシスコにもDAISOがあり、現地の人にも非常に人気です。値段は1.5ドルと日本に比べると少し高いですが、それでも人気は衰えません。アメリカ人からすると、安いことに加え、日本で売られているものがそのまま輸入されているという事実が人気を得る大きな理由になっているようです。

これはもはや、Made in JapanやCame from Japanがブランド化しているようにも捉えられます。日本の商品に対するアメリカ人のイメージは相当良いことがこのことから分かります。

アメリカ人から見る日本人の謎 10選

ブランド好きな日本人

日本人は他国の人に比べると、ブランド物への執着心が桁違いです。日本人にとって、ブランドは自分の価値を高める1つの手段として捉えられています。自分の内面とは関係なく、身の回りにあるものが自分の価値を決める、と考えられています。また日本人の特徴の1つとして自分自身の価値が確率されていないことがあり、ブランド好きになる要因にもなっていると言えるでしょう。外国人からすると、日本の若い女性がブランド物のバッグを持っているのは違和感があるそうです。ブランド物を持つのは年配の大人の女性や本物のセレブと考えられているからです。

このようなことからも分かるように、日本人にとってどこどこに行って何をした、や海外で有名ななになにを食べた、などということが自分の価値をあげる1つの方法となっているのです。また、集団主義である日本人は他の人が持っていたら自分も、というふうに集団の中で安心感を得るために買うこともあり、1人が買うと多数が買うことも期待されます。

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OMOTENASHI

日本の精神と言えば、OMOTENASHI。日本のおもてなしは世界一と言われています。ブルーボトルコーヒーの創設者でもあるジェームス氏は、そもそも海外進出することが目的ではなく、サービス精神やホスピタリティの高い日本に進出することでブルーボトルコーヒーが発展すると考えていたようです。2013年国際オリンピック総会で滝川クリステルが発言したことによって世界にも広まったこの言葉。今では日本を表す必須の言葉になっています。

「お客様は神様」という言葉は日本でよく言われています。100円のものを買ったとしても笑顔で「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」と言ってくれるのは日本ぐらいでしょう。また、外国人が衝撃を受けると言われているおもてなしサービスの中で上位にあがっているのは新幹線での入れ替えのわずかな時間に清掃隊が車内を掃除する姿だそうです。ここまで徹底しておもてなしを提供する精神は他の国ではなかなか見られないでしょう。

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米国IT企業におけるコーヒーブーム

以上のことからも分かるように、ブランド力とおもてなし精神が共存することは日本人が好む組み合わせです。この2つが共存しており、かつ日本人受けが良いものとしてあげられるのが最近流行りのコーヒーブームです。日本進出しているアメリカの商品として今特に注目されているのもコーヒーで、btrax本社があるサンフランシスコから日本進出したカフェはBlue bottle coffee(ブルーボトルコーヒー)に限らず、Four Barrel coffeeもあります。また東海岸からはゴリラコーヒーという名前からしてとても印象的なショップも進出しました。

サンフランシスコと言えば、ITが有名ですが、ITに限らず、お客様にエクスペリエンスを提供するカフェがたくさんあることも魅力の1つです。このように品質を追求するサードウェーブコーヒーがサンフランシスコだけでなく、アメリカ全土にて広がっていることが伺えます。そんな米国発のコーヒーショップを日本進出の理由とともにご紹介したいと思います。

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ブルーボトルコーヒー

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歴史
2002年にジェームス・フリーマン氏によって始められました。彼は、元々クラリネット奏者で、大好きなコーヒーの最高の一杯を作るべく、自宅のガレージで焙煎所を始めました。初めは自らの手で焙煎し、近隣のファーマーズマーケットで販売していました。後に、サンフランシスコ市内にカフェを持ち、ニューヨーク、ロサンゼルスと来て、日本までたどり着き、全国で18店舗展開するまでになりました。そして今では「コーヒー界のApple」と呼ばれています。

こだわり
ジェームス氏はスターバックスなどのコーヒーをひどく嫌っており、その理由というのもコーヒーを作ることが効率化、マニュアル化されていて、心がこもっていない、とのことです。ジェームス氏はコーヒーの豆も自分で買い付けに行き、厳選されたオーガニック・フェアトレードの豆を自家焙煎しています。

また「フレッシュネス」「ホスピタリティ」「サステナビリティ」を重視しており、焙煎後48時間以内に豆を使い、豆を挽いた後45秒以内にお湯を注ぐなどにもこだわっています。そして特に特徴的なのが、「マイクロ・ブリュー・コーヒー」と呼ばれるコーヒーの淹れ方。時間は掛かりますが、1杯ずつ丁寧に淹れられ、魅了されているファンは多いです。

日本進出の理由
ブルーボトルコーヒーの創設者、ジェームス氏によると、日本の喫茶店のコーヒーに対する真剣さや何に対しても均等に気が遣われているところが魅力的だそうです。そこで、ブルーボトルコーヒーもそれに次ぎたいと思い、またおもてなし精神が学べるということで、日本進出を決めたそうです。

また、清澄に第一号店を置いた理由として、青山や銀座にはない、ブルーボトルコーヒーらしさが感じられる土地だからだそうです。本社があるオークランドと雰囲気が似ていることも一つの理由に含まれています。このようにブルーボトルコーヒーでは、美味しいコーヒーを味わえるだけではなく、その土地に合った雰囲気と共におもてなし精神も体験できるようになっています。アメリカから来たコーヒーショップで日本のおもてなし精神が体験できるのはなかなか面白いですね。

Four Barrel coffee

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歴史
ジェレミー・トゥッカー氏は元々Ritualの会社で働いていましたが、もう1人の創業者との間で意見が食い違い、Four Barrel Coffeeを2008年に創業しました。以前は焙煎機はありませんでしたが、今ではお客様からも見れる範囲内で店内でローストされれいます。サンフランシスコ内には2店舗あり、姉妹店として、女性向けのThe Millという店舗もオープンしました。

こだわり
Four Barrel Coffeeのお店の前には自転車置き場があります。四つの樽という意味を持つFour Barrelという名前をつけたのはワインのように豆の原産地や種類で味わうことを提案した画期的なお店となっており、店内は薄暗く、ワイルドなイメージになっています。また、Wi-Fiは通っていなく、机もパソコンが置きにくいような高さになっています。これは、カフェで流れる雰囲気を壊したくないからだそうです。

人と人との繋がりや人間らしさを大切にしているのがFour Barrel Coffeeです。以前はコーヒーの質やコーヒー豆の原産地の管理に重きを置いていましたが、今はホスピタリティに重きを置いているということをジェレミー・トゥッカー氏も語っていました。

日本進出の理由
ジェレミー・トゥッカー氏は東京に訪れたことがあり、そこで開かれていたアメリカのカフェやレストランが集まるイベントでFour Barrelを出し、数時間で700杯を提供し、大盛況でした。この春に代官山にオープンの予定です。ログロード代官山にオープンする「タルティーン・ベーカリー&カフェ」でクロワッサンやタルトなどと一緒にFour Barrel Coffeeも展開される予定です。

タルティーン・ベーカリーも実はサンフランシスコ出身のお店でアメリカのベストベーカリーに選出されたこともあります。Four Barrel Coffeeはたくさんのオファーをもらっていますが、オーナーは「運命を感じたら決めるんだ」と言っています。日本は彼にとって運命だったのかもしれないですね。

ゴリラコーヒー

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歴史
ニューヨークのブルックリンで、ニューヨークの人々に美味しいコーヒーをお届けすることを目標に2002年にキャロル・マクラフリン氏によってオープンしました。彼女が大学時代に通っていたオハイオのコーヒーショップのようにこだわりを持ったお店を作ろうというのがきっかけでした。「力強いコーヒーが飲めるショップ」として有名になり、わずか数年で行列のできる人気店となり、現在ブルックリンには2店舗あり、2015年1月には日本進出し、渋谷にオープンしました。

こだわり
オーガニック100%のコーヒー豆を使用したビターなテイストのコーヒーが特徴で、毎日限られた量しか焙煎しないため、常にフレッシュなコーヒーを味わうことができます。フレッシュなコーヒーを提供することはオープン当初からのコンセプトで、またスタッフは扱うコーヒー豆の育った環境や特徴をお客様に伝えられるようになっています。ゴリラコーヒーではオリジナルフードも多々用意されており、ゴリラドッグやバナナケーキ、ロサンゼルスのセレブに人気の朝食として話題になっているエッグスラットまであります。

日本進出の理由

キャロル氏は日本のスペシャリティコーヒー市場に非常に魅力を感じており、価格が少し高めでも良いコーヒーなら認められる土壌があると話しています。彼女自身、日本のコーヒーショップを回ったことがあり、お気に入りのショップもいくつかあるそうです。ゴリラコーヒーの接客は日本人からみるとフレンドリー過ぎるところがあるかもしれませんが、ブルックリン発のコーヒー文化を楽しんでほしいとのことです。

 


ブランドもエクスペリエンスも現地市場向けにカスタマイズ

アメリカから来たものは日本でそのまま出して売れるでしょうか?日本に来ているものは、日本人ように味が少し変わっています。使う素材も日本のものを使い、その土地でスペシャルなものを使っています。しかし、提供するものを作る過程や技術は現地のものを使います。

そこでいかに現地のものに近づけるか、という点でアメリカでの研修や、アメリカから日本まで教えに来てくれる、などの制度を設けています。これらの制度などは、日本人の細かいところまで気にするという特徴に備えられていると言っても過言ではないでしょう。

アメリカにある日本食は、日本のものとはかけ離れており、日本にはない巻き寿司がたくさんあります。しかし、現地のものとはかけ離れていても、お寿司の人気は上昇する一方です。その土地のものとはかけ離れていても通るのがアメリカです。

日本文化から学ぶ海外進出のポイント 〜アメリカで寿司が人気を博し、アイドルが拒絶されるのはなぜか?〜

アメリカの企業が日本で発展するには、やはり日本人の特徴を捉えていなければ、成功するとは言い難いでしょう。その土地、文化、人々に合ったものであり、新しいものを導入していくこと、そして1番大切なのはブランド力エクスペリエンスの組み合わせです。その中でいかにそのお店らしさを出していくかが日本で展開する大きなポイントになります。日本人の特徴は世界から見ると少しユニークかもしれませんが、その特徴を捉えれば、日本に進出する海外の企業は増えるかもしれません。

 

 

photo by Christopher Michelno_typographic_man

 

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