15年ぶりに日経平均株価が2万円を回復し、活気を帯びる東京株式市場。そんな市場の明るいムードに水を差す事態が起こっている。昨年から新規株式公開(IPO)銘柄で上場直後に大幅業績下方修正、不正発覚など、投資家からの信頼を失いかねない案件が続発。上場益を取得したいがためのIPOと見受けられるケースも出ている。日本取引所グループ(JPX)も事態の深刻さを見かねて、異例の上場審査の厳格化に着手、市場の健全化に乗り出している。
「投資家をバカにするにもほどがある」。株式市場で1月からある銘柄の動きが市場や投資家で話題となった。渦中の会社は「gumi(グミ)」。ソーシャルゲームを手がけ、新興市場マザーズに平成26年12月に上場した。
ただ、かわいらしい社名とは裏腹に、上場後はそのお粗末な行動に非難が集まった。上場してわずか2カ月半後、平成27年4月期業績の営業損益見通しを13億円の黒字から4億円の赤字に下方修正した。その後、赤字が嫌気され株価は大幅下落。3月6日、9日に2日営業日連続でストップ安となり計1000円安の1581円をつけ、その後も株価は下落し続けた。
さらに追い打ちをかけ、投資家ら不信感を高めるような事態が続発する。3月27日には100人程度の希望退職者の募集と一部のブラウザー事業の売却を発表した。このほか1月には30億円を無担保で借り入れていたことや、韓国子会社の従業員による横領が発覚するなど、コーポレートガバナンス(企業統治)も問われる事態も表面化した。
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