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 専用容器から湯や水が出る「ウォーターサーバー」で乳幼児のやけどが相次いでいるとして、経済産業省は23日、事故事例を分析した上で、メーカー側に蛇口の形などを工夫するよう提言した。消費者に対しても、周囲を柵で囲うなどの対策を呼びかけている。

 同省によると、自宅や店舗などのウォーターサーバーで6歳以下がやけどする事故は、2013年末までの約6年7カ月に40件起きた。うち少なくとも9件が1カ月以上の重傷。0~1歳が全体の75%を占める。2歳児が蛇口を回して根元から外れた(12年・千葉県)などの事例が報告されている。

 愛知県の会社員女性(25)は昨年4月、次女(11カ月)がウォーターサーバーで左手にやけどし1週間入院。長女(2)がボタンのチャイルドロックを解除している間に偶然蛇口に触れたという。「ミルク作りのために買ったのにまさかこんなことになるとは」

 メーカーなど68社でつくる「日本宅配水&サーバー協会」によるとウォーターサーバーは、蛇口をひねったり上下させたりすることで、水や約70~90度の湯が出るものが多い。00年ごろから普及し11年の東日本大震災を機に拡大。昨年末までに約340万台が普及している。蛇口は韓国からの輸入が中心で国内では数社が製造。大半に、誤操作を防ぐボタンなどのチャイルドロック機能が付くが、基準はない。

 経産省は、メーカー側に、1歳以下の力では湯が出ないようにすることや、チャイルドロックを解除する手順を2回以上にすることなどを提案した。

 提案を受け、同協会の芹沢卓道事務局長は「乳幼児の事故が起きていることは重く考えている」と語り、今年度中にも安全性の自主基準をつくることを明らかにした。(小寺陽一郎)