【萬物相】時代を映す鏡としての新語

 「ミルトク」という言葉を初めて見たのは中学生の息子のスマートフォン向け無料チャット・通話アプリ「カカオトーク」でのことだ。「小麦粉(ミル)で作ったもち(トク)?」と聞くと、あきれながら「ミリタリーオタク」、つまり軍や兵器に関心を持つマニアのことだと教えてくれた。そう言われてみると、カカオトークにいろいろな種類の戦車やミサイルの写真がたくさんあるのに気が付いた。「ククヒョム」という言葉も息子に教えてもらった。「極めて嫌悪する」の「極」(クク)と「嫌」(ヒョム)をくっつけた言葉だ。数日前の保護者会では、子どもたちが先生のことを「セム」(韓国語で先生を意味するソンセンニムの俗語)と呼んでいて仰天した。昔の大人たちがもしこれを聞いたら、「神様のような存在の先生を近所の犬を呼ぶかのように呼んでいる」と卒倒してしまうだろう。

 「言語崩壊だ」と非難されているが、新語はその時代の社会を映す鏡だ。「早退」(早期退職)、「名退」(名誉退職=リストラ)、「ファンテ」(干しダラと荒退=荒唐無稽〈むけい〉な退職をかけた語)、「トンテ」(冷凍タラと真冬の退職をかけた語)、「アルベン・ミョンテ」(タラコがたっぷりのタラと退職金をたくさんもらえるリストラをかけた語)などはリーマン・ショックが起こった2008年に多数生まれた。「スグリ族」(体を丸くしてスマホの画面を見つめる人)、「トゥ統領」(ツイッター+大統領)、「約定承継男」(アイフォン4を買うため、まだ契約期間が残っているアイフォン3GSを妻や妹に引き継がせる男)、「アップルパ」(アップル製品を買い集める人)などは、スマートフォンやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が爆発的に普及した11年ごろに生まれた言葉だ。

 恋愛観や異性観の変化を垣間見ることができる新語も毎年生まれている。「生姜女」(ショウガと生強=生活力が強いことをかけた語)、「カンブリー」(負けん気が強いがかわいい女)は、男性が考える理想の女性のタイプが生計型に変わろうとしていることを示している。女性が考える理想の男性タイプは「ヌンチョン男」だそうだ。「能力があって掃除も上手な男」という意味だ。リアリティー番組『三度の食事』で料理の腕を披露、あらためて注目されている俳優チャ・スンウォンのおかげで、「チャジュンマ」(チャ・スンウォンとアジュンマ=おばさんを合わせた語)がかつて人気だった「チャド男」(冷たい都会の男)を超えた。

 新語が数多く誕生しているため、新語の活用能力を測る「新語能力試験アプリ」まで登場した。国立国語院が「辞書にない言葉・新語」という本を出版、毎年新しく生まれた言葉を集めて発表している。この1年間で生まれた新語の中には、「脳セク男」(脳がセクシーで知的な男)、「クムサパ女」(すぐ恋に落ちる女)といった略語や「アングリー・マム」(教育問題に怒り、行動する母親)のような外来語も多い。不況を反映した「賃金絶壁」、「五放世代」(恋愛・結婚・出産・人間関係・持ち家をあきらめた世代)も目立つ。

 「正しい言葉や美しい言葉の使用を奨励すべき国立国語院が俗語を推奨するのか」という非難もある。だが、辞書を作る学者たちの考え方は違う。慶北大学のナム・ギルイム教授は「新しい言葉が生まれるのには必ず理由がある。どんな分野でなぜ生まれ、消えるのかを追跡すれば、社会・文化・政治の内側を深くのぞき見ることができる」と話す。それでも「核蜜ジェム」(超面白い)、「人生チャル」(人生で一度あるかないかというくらい写りのいい写真、奇跡の1枚)といった言葉は全く意味が分からない。言語崩壊かどうかを問う以前に、とにかく耳障りだ。ずぶとく風刺精神にあふれながらも品のある新語で辞書の中身も豊かになればと思う。

◆【これってどういう意味?】脳セク男

金潤徳(キム・ユンドク)論説委員・文化部次長
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