ある男はグーグルジャパンのセールスヘッドを務めた。
また、ある男はグリーインターナショナルの立ち上げを託された。
このようなキラ星のごときキャリアを持ったプレイヤーが集まるスタートアップ企業がある。手軽なA / Bテストやデータ解析を通して、あらゆるウェブサイトの改善活動をサポートする「KAIZEN PLATFORM(以下KAIZEN)」だ。

あらゆる大企業が渇望してやまないであろう、ワールドクラスと言って過言ではないタレントを、創業して2年にも満たないスタートアップ企業がなぜ獲得できるのだろうか。強力な採用力の秘密を同社CEOの須藤憲司氏に聞いた。

スタートアップ企業の初期メンバーに必要な資質とは



ーKAIZENは2013年6月にアメリカ・サンフランシスコで創業されたと聞いています。あえて創業の地を海外にしたのは、なぜなのでしょうか?

単純な話、グローバルに勝負したかったんです。アマゾンもグーグルもFacebookも、創業してその後、グローバルにでかくなっていますよね。そういった会社のスタンダードに合わせたかった。単純にそれだけです。日本の株式会社だと、海外の投資家から資金を集めるのが難しいと思っていたので。

ー世界標準を狙う、という意思表明以外でも、アメリカ企業であることはメリットがありますか?

そうですね。採用の側面ですごく大きな意味があります。そもそも”グローバルで勝負したい”という志を持った人材が集まってきますから。アメリカでの採用にもやっぱり影響があって、アメリカで日本の会社が人材を獲得するのは、本当に大変なので。

ーアメリカで創業した、という事実は会社のブランディングとして有効だった、と?

採用が進んで、実際に入社するか、しないか、という段階で『日本企業です』」と言うのと、『外資企業です』と言うのでは、やはりちょっと違う。アメリカでもそれは同じです。

ーそんな中、第1号社員の方はどのように採用したのでしょうか。

”人を探している、紹介してほしい”と、自分のツテに声をかけていったんです。それで第1号社員になってくれた方は、僕の知り合いが紹介してくれて。お茶しながら20分くらい話して。この人面白いな、一緒に働きたいな、と思って入社してもらったんです。

ー採用の決め手になったのはどんな部分だったのでしょうか?

僕はロジカルに納得がいかないと行動できないタイプなんですけれど、第1号社員の人は”理屈はないけれど、やってみようか”と行動できる。目をつぶってジャンプできる人なんです。スタートアップならば、そういう大胆に行動できる人がいないとだめだなと思って。それで入社してもらいました。

KAIZENには須藤氏に加え、もう一人の共同創業者がいる。CTOを務める石橋利真氏だ。須藤氏は石橋氏を「すごくおっとりした性格」と語る。反面、自身のことは「けっこうギスギスした性格。いろんな場所で炎上を起こしてしまう(笑)」という。

何もかもが手探りとなるスタートアップにおいて、まず獲得するべきは、”創業者にできないことができる。創業者が持っていないものを持っている”人材。少なくともKAIZENにおいて、最初期の社員に共通するのは、創業者とは違うマインドを会社に持ち込める、という点だ。


最初期のKAIZENを作り上げた”八人の侍”



KAIZEN須藤3

創業して3ヶ月後、KAIZENは須藤氏を含め8人の組織となった。その後の人員拡大にも大きく影響したという、初期のチームビルディングにはどのような構想があったのだろうか。



ー創業初期の採用戦略はどのように考えていたのでしょうか?

創業して3ヶ月くらいで8人の組織になって、2013年の末くらいまではそのメンバーでしたね。KAIZENの場合はエンジニアがCTO含めて4人。ビジネスサイドは僕を含めて3人。あとバックオフィス担当が1人。その頃って事業のコンセプトを定めたり、とにかくトライ&エラーを繰り返していた時期だったんです。自分たちになにができるのか、できないのか。ビジネスやプロダクトの細かい部分まで、小さいチームでPDCAを高速で回したかった。ですから人だけが増えていくという状態は避けたかったんです。

ー初期のチームメンバーはどのように見つけたのですか?

紹介ですよね。最初の7人の内、僕の直接の知り合いって2人しかいないです。あとは人づてで集まってくれました。最初のころは他にもリクルーティングは色々やっていましたよ。営業先で声をかけたり。

ー営業先ですか!?

僕、創業して数ヶ月で100社以上営業したんですけれど、営業先でこの人イケてるなと思ったら、『転職しませんか?』って聞いたり。それがだめなら『あなたの会社で一番すごいと思う人って誰ですか?』とか普通に聞いてましたよ。あと社内スタッフでFacebookとかの友達リストを持ち寄って、『おまえ、誰ともう1回働きたい?』『この人!』『じゃあ今すぐメールを送ってオフィスに来てもらおうぜ』みたいな。「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングですよ(笑)。

ー最初のメンバーが集まるまでは、かなりの数の面接をこなされたのではないでしょうか?

いや、最初の7人はすごく早かったですよ。ほとんど面接もしていませんから。そもそも間接的にはKAIZENとつながりがあった人たちだから、個々人が持つスキルセットも分かっていました。ただし、初期メンバー以降の採用では、かなりの数の面接をしましたね。僕だけでも500人くらいは会ったんじゃないかな。僕以外のメンバーもリクルーティングを行っていたので、会社全体で考えたらお会いした方はもっといるはずです。

ーやはりダイレクトリクルーティングで採用されるパターンが多いのでしょうか?

もちろん、それ以外にもリクルートメディアや人材紹介会社とかヘッドハンターなど、全部使っていますよ。社員の30%くらいはこうしたルートで採用しています。ただ、ダイレクトの方が人材のクオリティや、精度は高いですね。あと、そもそも会社とフィーリングが合う人が、ダイレクトだと見つかりやすい。スキルだけを見て採用してしまうと、うまくいかないことも多いので。採用って”この人と働きたい”と思える人間性の部分まで含めますから。

待ち、ではなく企業が積極的に適格者にアプローチしスカウトする。このようなダイレクトリクルーティングは、今やベンチャーやスタートアップ界隈以外でも常套手段になりつつある、いわば基本だ。業界屈指のタレント集団と呼ばれるKAIZENであっても、その採用活動はあくまでも基本に忠実というわけだ。

では、基本に忠実であれば、超一級の人材を獲得できるのだろうか。次ページではスタートアップ企業が、IT / web業界の巨人から人材を獲得するために必要なものは何か、に迫る。



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