バルセロナ=河野正樹
2015年4月22日16時10分
スペイン1部バルセロナの下部組織に所属していたFW久保建英(たけふさ)(13)が退団することになった。国際移籍は原則18歳以上という国際サッカー連盟(FIFA)の規則に触れ、バルセロナでは公式戦に出場できないためだ。FIFAはこの規則を厳格に適用し始めたところで、背景には巨額の移籍金が動く欧州選手市場の暗部がある。
久保はJ1川崎U12(12歳以下)に所属していた10歳の時、入団テストに合格してバルセロナへ移った。2013年には東京都内で開かれた国際親善大会でバルセロナの一員として活躍した。すでに帰国し、15歳以下日本代表のインドネシア遠征(12~19日)に参加するまで、FC東京で練習していた。今後どのクラブに所属するかは決まっていないという。
バルセロナのジョルディ・メストレ副会長(スポーツ担当)は朝日新聞の取材に「タケと家族が決断し、帰国を伝えてきた。バルサでプレーしたいタケには気の毒だが、FIFAの規定がある以上、やむを得ない」と話した。バルセロナは今後も久保と定期的に連絡を取るという。18歳になってからについては、「体力も技術も変わる。タケが18歳になってみないとわからない」と話した。
18歳未満の国際移籍を禁ずる規則が注目されたのは、14年4月にFIFAがバルセロナとスペインサッカー協会を厳重処分にしたことに始まる。バルセロナは09年から13年にかけて、韓国やフランスなどスペイン国籍以外の選手を移籍させたり、新たにスペインで登録させたりして、下部組織に入れていた。FIFAはバルセロナを1年間の移籍禁止、45万スイスフラン(約5600万円)の罰金とした。バルセロナはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に処分の取り消しを訴えたが、昨年12月に敗訴した。
■放逐される例も
FIFAは01年に欧州サッカー連盟などと子どもの保護で合意。05年に18歳未満の国際移籍を原則禁止にした。例外の条件は、①サッカー以外の理由で親が転居、②欧州連合(EU)と欧州経済領域(EEA)の中での16歳以上の選手の移籍、③国境から50キロ以内に住む選手の同じ範囲内のクラブへの移籍で当該国協会が許可した場合、に限られる。
欧州では、アフリカや中南米の選手を青田買いしておきながら、選手として成功しないと見限ると、生活や教育の支援をやめて放り出すクラブや仲介人が問題になっていた。未成年が異国で行き場を失い、路上生活になったり、犯罪組織に引き込まれたりした例がある。アフリカでは、16歳でスペインに渡ったカメルーン代表FWエトーにならい、未成年で欧州に渡りたいという子どもが少なくない。子どもの思いを利用し、移籍の仲介人がクラブや選手の親から金銭を搾取することがあり、人身売買と同じだと非難する声が欧州にある。
FIFAは07年に移籍を監視する制度を作り、10年から専門機関が不正な移籍がないか監視している。バルセロナの違反はその専門機関が調査した。
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