もう30歳手前にもなると腰を据えて仕事をしている人も多くなり、課長、部長、店長、開業して社長まで役所は様々。稼ぎもあるので駅前にあるチェーン店の居酒屋ではなくホテルのレストランを貸し切った会場。家庭を持ち子どもを連れている女の子も多々いる。
当時、僕が片思いしていた川崎さんも元気そうだ。バレーボール部でエースだった彼女も今では2人の子どもを連れたママになっていた。
卒業してすぐに栃木県へ転校した佐竹くんも来ていた。12年ぶりになるだろうか、こんなに大きな規模で同窓会することなんて初めてだからということで、同窓会の為だけに大阪に来たらしい。
やはり12年も経つと顔が変わっている。みんな大人の顔つきだ。髭を生やす人がいれば、白髪交じりの人も、しわが増えたね。なんて話もあったのだろう。
当時、地味だった内山さんはメガネをやめ、コンタクトにしていて少女漫画のように美しく変身していた。
高校の時にデビューしたのか、大学時代だろうか。ちなみに僕は高校デビューを4回失敗した男である。
あの頃、あまり喋らなかったね。とか、ケンカして疎遠していたことも月日が経てば良き思い出にもなるのだろう。
犬猿の仲と言われていた島くんと春田くんが肩を組んで集合写真を撮っていた。今ではすっかりおじいちゃんになってしまった担任の先生を囲んだ写真を。
そんな素敵な同窓会が行われたことをFacebookで知った。集合写真には丁寧にも1人ずつタグ付けがされてあり、『12年ぶりに再会!37人全員集合!』なんてコメントも。すごい数の“いいね”が付けられている。僕もしっかりと“いいね”を押した。
僕の出席番号は38番。吉本という名前はだいたい名前の順で一番最後だったので、しっかりと覚えている。
僕の記憶が間違いでなければ『38人全員集合!』が正解であり、Facebookで同窓会があったという事実を知ることが間違いである。
過去のメール、LINE、Facebookのメッセージなどを入念に遡った。これ以上ない程に慎重に。それでもない、同窓会お誘いの連絡が。
あの頃、僕は存在していたのだろうか。僕の過去はいずこへ。
最近、自動ドアも開かないし、トイレのジェットタオルも反応しない。店員さんにいらっしゃいませも言ってもらえない。
どなたか同窓会に憧れる僕と一緒に“同想会”してくださいませんか。
おわり
妻が呆れた顔して撮影してくれました / “「証明写真機」を自作してみた(1/3) - オモトピア” http://t.co/3oBL8w9Rp0
— 吉本ユータヌキ (@gonnakill_uta) 2015, 4月 16