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【社説】中学校教科書検定 政権の「宣伝」を担うな
- 神奈川新聞
- 公開:2015/04/16 10:53 更新:2015/04/16 11:21
中学生が来春から使う教科書の検定結果を、文部科学省が公表した。従来の歴史教育を「自虐的」と批判してきたメンバーが目立つ現政権の姿勢を反映してか、領土問題や歴史認識では政府の見解を重視する姿勢が鮮明になった。
検定は昨年1月に改定された解説書と検定基準に基づき行われた。中韓両国との摩擦を引き起こしている竹島・尖閣諸島を「固有の領土」と明記するほか、近現代史では通説的な見解がない場合は明示すること、また政府の統一的見解に基づく記述にすることを求めていた。
結果、全社が竹島・尖閣を固有の領土と記述。明治時代の国策に関しては、アイヌ民族の人々から土地を「取り上げた」という記述を「与えた」に修正した。また、旧日本軍の関与が論争になる沖縄戦の集団自決については軍による強制のトーンを薄め、慰安婦について記述したのはわずか1社だった。
総じて国家や軍による加害などの「負」の歴史を薄める、あるいは記述自体を控える方向になったといえよう。これは「自虐史観」を否定する人たちの主張に沿っており、執筆側が政権の意向を忖度(そんたく)して萎縮したという印象が拭えない。政治の教育内容への介入を懸念する声が上がるのも、仕方あるまい。
わが国は、「大東亜共栄圏」を掲げ隣国である韓国を植民地にし、中国を侵略しながら欧米列強と戦い、大敗北した。そこから現在の日本の歩みは始まっている。
アジアの国々の信頼を得るため、教科書検定ではアジア諸国への配慮を求める「近隣諸国条項」を設け、多角的な教育を行った。竹島、尖閣についても相手国の立場を説明してきた。
だからこそ歴史の恩讐(おんしゅう)を超えて中韓両国と関係を築き、戦勝国と肩を並べるまでになったといえよう。従って、一定の歴史認識が日本に求められるのは当然の流れなのである。
今回、近隣諸国条項は撤廃され、多角的な視点から一国の視点に方向転換するような結果となった。中韓との関係が冷え込む現状、欧米の首脳や報道機関が安倍政権の歴史認識に言及する内容を見れば、現在の日本に警戒感を強めているのは間違いない。教育は、政権のプロパガンダの手段ではない。今後、国際舞台で活躍する人材を生むためにも、教育現場には自立が求められよう。
検定は昨年1月に改定された解説書と検定基準に基づき行われた。中韓両国との摩擦を引き起こしている竹島・尖閣諸島を「固有の領土」と明記するほか、近現代史では通説的な見解がない場合は明示すること、また政府の統一的見解に基づく記述にすることを求めていた。
結果、全社が竹島・尖閣を固有の領土と記述。明治時代の国策に関しては、アイヌ民族の人々から土地を「取り上げた」という記述を「与えた」に修正した。また、旧日本軍の関与が論争になる沖縄戦の集団自決については軍による強制のトーンを薄め、慰安婦について記述したのはわずか1社だった。
総じて国家や軍による加害などの「負」の歴史を薄める、あるいは記述自体を控える方向になったといえよう。これは「自虐史観」を否定する人たちの主張に沿っており、執筆側が政権の意向を忖度(そんたく)して萎縮したという印象が拭えない。政治の教育内容への介入を懸念する声が上がるのも、仕方あるまい。
わが国は、「大東亜共栄圏」を掲げ隣国である韓国を植民地にし、中国を侵略しながら欧米列強と戦い、大敗北した。そこから現在の日本の歩みは始まっている。
アジアの国々の信頼を得るため、教科書検定ではアジア諸国への配慮を求める「近隣諸国条項」を設け、多角的な教育を行った。竹島、尖閣についても相手国の立場を説明してきた。
だからこそ歴史の恩讐(おんしゅう)を超えて中韓両国と関係を築き、戦勝国と肩を並べるまでになったといえよう。従って、一定の歴史認識が日本に求められるのは当然の流れなのである。
今回、近隣諸国条項は撤廃され、多角的な視点から一国の視点に方向転換するような結果となった。中韓との関係が冷え込む現状、欧米の首脳や報道機関が安倍政権の歴史認識に言及する内容を見れば、現在の日本に警戒感を強めているのは間違いない。教育は、政権のプロパガンダの手段ではない。今後、国際舞台で活躍する人材を生むためにも、教育現場には自立が求められよう。
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