バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)/監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/2014年/アメリカ
アカデミー賞授賞式までで1作品扱いしたい所存でございます。
TOHOシネマズシャンテ、E-10で鑑賞。事前情報としてはマイケル・キートンが出ていること、アカデミー賞作品賞とったこと、ワンカットに見えるように撮っていること、くらいでした。
あらすじ:元ハリウッド俳優が舞台でがんばりたい。
むかし『バードマン』っていうヒーロー映画で一世を風靡したリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、ブロードウェイで舞台やって返り咲くぜと意気込むものの、混乱していて大変です。
※ネタバレはありません。
ストーリーには触れていません。他の映画のざっくりネタバレはあります。
- おすすめ
ポイント - コメディ映画ですが、めっちゃくちゃ怖くて面白かったです。ダーレン・アロノフスキー好きな人におすすめ。
『バットマン』のマイケル・キートンにこういう役を当てるのは意地悪だなあと思っていましたら、お話が進むにつれて、あれ、これもしかしてエドワード・ノートンは『ファイト・クラブ』(『インクレディブル・ハルク』も?)、ナオミ・ワッツは『マルホランド・ドライブ』、エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』なのか? と、思いまして。
『ファイト・クラブ』は二重人格者のお話ですよね、リーガンは二重人格者というより統合失調症、ひとりなのにふたりいる。統合失調症的な描写はかなり多かったですね。クライマックス含めこのへん『ブラック・スワン』っぽさあります。
お話全体では『レスラー』っぽさもあります、そして『レクイエム・フォー・ドリーム』っぽさも……なのでダーレン・アロノフスキー好きな人にいいんじゃないかなって思ったんですね。
ちょっとズレたんで戻しますと、『マルホランド・ドライブ』はハリウッドで女が大混乱して、もうなにが現実やら空想やらわからんぞというお話ですよね、リーガンも、なにがなにやらとなっております、女同士のなにがなにやらもございます。
『アメイジング・スパイダーマン』はリーガンでなくエマ・ストーン側の立場になっていると思うんですね。
『アメイジング・スパイダーマン』が、『スパイダーマン』のリブートということも考えると、この役にエマ・ストーン持ってきたのは、わざとなんじゃないかなあ。
マイケル・キートンが『バットマン』シリーズを(ティム・バートンの事情があるとはいえ)2作で降りてますので、あー、「1992年」っていうせりふもありましたね、これ『バットマン・リターンズ』が1992年だから入れてるんじゃないですか? たぶんこのあたり、詳しい人にお任せしたら山ほど出てくる気がします、わたし知らない映画いっぱいあるから。
またズレたんで戻します、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の登場人物はほとんどみんな、どこかぐらつきを持っている中で、エマ・ストーンだけが現実、現在の世界を見ている。『スパイダーマン』がまたまた作り直されるらしいって話ありますが、今のところは『アメイジング・スパイダーマン2』が最新ですので、先のことは置いといてエマ・ストーン。
彼女は下を見てから上を見ますが、これ、下見て現実が終わっていて、上を見るのはリーガンの理想のようなものかと。ここにほんの少しの救いがあって、下見てバツンって切れたらドヨーンですからね……。ああ、でも、バーンってなったところで終わっているのか、撮り方変わるからね。
ザック・ガリフィアナキスも現実側の人間ですが、この人は登場回数に反してストーリーの根幹に関わる部分には居ない。
『ハングオーバー』でしっちゃかめっちゃかやってた人が、しっちゃかめっちゃかやるリーガンを「まあまあちょっと、落ち着きなさい」って諭してるの、ちょうおもしろかった。
アカデミー賞主演男優賞が発表されたとき、マイケル・キートンが胸ポケットからスピーチ原稿らしき白い紙を取り出しかけていた瞬間がカメラに抜かれてちょっと話題になっていました。それが本当に原稿だったのかどうか、本人に聞かないとわからないですけれども、映画を見終わってから思い出すと切なさが倍増というか……。
映画見たあとに授賞式見ていたら、もっと「うわーん」ってなってたと思いますね。メタいなあ。メタいって今つくった。アカデミー賞授賞式含めてね。もう、授賞式までで1作品扱いしたい所存でございます。