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うつ病治療を助けるP2Pネットワークツール

「Panoply」は、不安障害やうつ病の患者向けの認知療法をベースにしたツールだ。コミュニティを構築し、互いの治療を支援し合えるようデザインされており、対照実験で効果が証明されたという。

 
 
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TEXT BY KATIE COLLINS
IMAGE BY CHRISTINE DANILOFF/MIT
TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS(UK)

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米マサチューセッツ工科大学(MIT)と米ノースウェスタン大学が共同で開発した、オンラインのP2Pネットワーク・ツール「Panoply」が、不安障害やうつ病の患者の治療に効果があることが明らかになった。オンライン・サポート・コミュニティを構築し、互いの治療を支援し合うことができるようデザインされている。

Panoplyは、こうした患者たちの多くにとって悩みの種である「適切でない思考パターン」の対処に役立てようと設計されている。

どういった思考パターンかというと、例えば「全か無かの思考(二分法的思考法)」や「過度の一般化」、「他人の気持ちがわかると思い込むこと」、「将来を悲観的に予測する『破局化思考』」などだ。

『Journal of Medical Internet Research』誌に発表された研究論文(PDF)によると、PanoplyのP2Pネットワークによって、総合的によい結果がもたらされたことが示されている。

研究チームは、166人が参加したPanoplyの効果を、不安障害やうつ病の患者が一般に利用している「筆記療法」[訳註:ストレス経験など、自身の心の内側を実際に「書く」ことを習慣化し、心身の健康へつなげる治療法]と呼ばれる治療技術と比較して、実際に効果があると結論している。

研究チームは、特に明確な結果が得られた2つのポイントを特定した。1つ目は、参加した人々が、直面している問題に対して、見方や発想を変え、新しい適応の方法を探す「認知的再評価」と呼ばれる新しい技術を教えられ、これが非常に役に立ったと考えていること。2つ目は、症状が重い人ほど気持ちが大きく改善したことだ。

 
 
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