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CAREER LAB新人エンジニア必見!経験者でも見落としがちな回路設計のポイント

新人エンジニア必見!
経験者でも見落としがちな回路設計のポイント
CATEGORYコラム
DATE2015/04/06
初めて社会人になる方や、設計という職業に就いたばかりのみなさん、実際に経験してみた感想はいかがですか? 今までにないものをつくり出す苦労や楽しみなどいろいろあったと思います。

ここでは、ちょっとしたことで製品の安定性や信頼性向上につながることや、見落としがちなポイントを実際に起きたトラブルをもとにお話します。
新人エンジニア必見!経験者でも見落としがちな回路設計のポイント

ちょっとしたミスが大きな事故につながることも!?

設計は製品の全体像を決める非常に重要でやりがいのあるものですが、ちょっとしたミスが大きな事故につながってしまう可能性もあるほど、その責任は重大なものです。ここでは、車載機器の設計時に実際に起きたトラブルを例にみていきましょう。  
車載機器の設計時に起きたトラブルとその検証方法

近年の自動車ではETCが標準装備となっていますが、「ETCが作動しない」というトラブルが発生したことがありました。ETC機器にはカードも入っていて、「通過できます」というアナウンスも流れたにもかかわらず開閉バーが開かず、バーに追突してしまう、ということが起きたのです。しかも、それは複数のETCで発生してしまいました。不具合品を確認しても問題点は見つかりません。

なかなか問題を見つけられない時に効果的な方法は、「条件を変えて確認する」ことです。寒いときなのか、暑いときなのか、雨の日なのか……など、さまざまな条件を想定します。

例えば、以下のように条件を変えて試験をしてみます。

  • 恒温槽で高温にして試験→問題なし
  • 検査環境を低温にして試験→問題点が出現
このように「低温で問題が発生する」ということが判明すれば、「低温で発生する=半導体に起因する物ではないか」という仮説が立てられます。

その後は「立てた仮説が本当に正しいのか」「壊れている箇所はどこなのか」といった検証を重ねていきます。細かく検証するために機器を分解、関連すると思われる基板だけに冷却スプレーを使用し、問題点が出るまで一つ一つ調べていきます。

すると、あるトランジスタで問題が確認できます。過去のデータシートと比較し確認すると、「hFEは常温でTyp=250」とありましたが、「低温でのhFE低下」という条件を考慮せずに設計を行っていたために、このトラブルが起きてしまったということが判明したのです。

トラブルには必ず原因があり、未然に防ぐことができる

トランジスタはどんな製品にも必ず使われている部品ですが、温度によってhFEが変化します。試作段階では「動作すればよい」とだけ考えてしまいますが、安定性・信頼性を保つためにも忘れてはいけないことは「トランジスタは低温ではhFEが減少する」ということです。

このように、製品に使用する各部品には安定的に動作するための条件があります。設計で「とりあえず動作する」回路を作ることは難しいことではありませんが、安定性や信頼性のある製品にするためには、設計という業務が非常に奥深いものであるとわかるかと思います。

「minでのhFEで定数計算を行い、本当に必要な電流が流せるのか」「過去のデータシートや実績のある回路を参考にする」といったポイントに気をつけておきましょう。

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