スポーツのしおり
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【社会】子どもの食と貧困 初調査へ 健康格差を懸念厚生労働省が子どもの食事、栄養状態と、保護者の収入や家庭環境との関連性について、初の全国調査を実施することが四日、分かった。十八歳未満の六人に一人が貧困状態にあるとされ、「子どもの貧困」が社会問題になる中、不十分な食生活を送っている子どもたちの家庭の社会的、経済的傾向を分析し、支援策づくりに役立てる。九月に実施し、来年三月までに結果を公表する予定だ。 調査は、十年ぶりとなる乳幼児栄養調査の一環として行われる。近年増加し、給食中の事故も起きている食物アレルギーについても症状や食事制限の有無、医師への受診状況などを、初めて調査項目に加える。 厚労省が検討している保護者に関する新たな質問項目は(1)同居する家族構成(2)両親の学歴(3)世帯収入(4)母親の就労状況や就労形態−など。「暮らしを総合的にみてどう感じているか」との質問もあり、「大変苦しい」「大変ゆとりがある」など五段階で答えてもらうほか、時間的なゆとり感などについても尋ねる。 子どもに関しては、二歳以上を対象に、菓子やインスタントラーメン、ファストフードを食べる頻度に加え、間食の回数や与え方、朝食や夕食を誰と食べているかを尋ねる。外遊びや、テレビ、ゲームの時間も調べる。 乳幼児栄養調査は十年に一回行われ、今回は六歳未満の子どもがいる全国の約三千世帯を対象にすることを想定している。 ◆「ふりかけご飯・麺類だけ、多数」親の経済的事情が、子どもの体の基盤をつくるのに最も大切な乳幼児期の食にまで影響を与えかねないと懸念が強まっている。非正規雇用の増加などによる「格差社会」が子どもの健康格差にまでつながっていいのか。危機感を強める専門家は「継続的な調査が必要だ」と指摘する。 厚生労働省によると、一九八五年に10・9%だった日本の子どもの貧困率は二〇一二年に16・3%と過去最悪になった。ひとり親世帯は特に深刻で、54・6%に上る。「収入が少なく食費を削らざるを得ない」「働きづめで、食事を作る時間的余裕もない」と親たちの悩みは切実だ。 新潟県立大の村山伸子教授(公衆栄養学)らは一三年秋、東日本四地域の小学生約九百人の食生活と家庭の経済状況を調査した。その結果、所得が低い家庭の子どもの方が「朝食の欠食率が高い」「野菜の摂取頻度が低い」「インスタント麺を食べる頻度が高い」といった傾向が分かった。 「実際に食事を見ると、ふりかけご飯だけ、麺類だけという家庭が多かった」と村山教授。経済的要因に加え「健康の維持には栄養のある食事が必要との知識が乏しい」と分析する。 村山教授は、国の調査に子どもの食事と経済状況の分析が入ることを評価する一方、「政策に反映させ、効果を検証するためにも、データの蓄積とモニタリングが必要だ」と述べ、定期的な調査を求めている。 <子どもの貧困対策> 生活が苦しい家庭の子どもの教育支援を柱とした「子どもの貧困対策推進法」が2014年1月に施行、8月には政府方針となる大綱が策定された。食について、学校給食の充実や低所得世帯への給食費補助、食育推進で栄養状態の確保に努めるとしている。 PR情報
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