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【社会】

子どもの声 騒音規制から除外 都条例改正 来月施行

 保育所や公園での子どもの声を騒音の数値規制の対象外とする東京都環境確保条例の改正案が二十七日の都議会本会議で全会一致で可決された。四月一日から施行される。

 対象外とするのは、小学校就学前の子どもと、一緒にいる親や保育士ら。保育所や幼稚園、児童館、公園などで出される声をはじめ、足音や遊具、楽器の音を除外する。保育所に設置した室外機の音や送迎時の親の声は、現行通り規制対象とする。

 今後は数値でなく、社会生活上の受忍限度を超えるかどうかで条例違反の判断をする。保育所などが近隣住民と話し合いをしたかも考慮する。

 現条例は「何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」と規定し、子どもの声も騒音に含まれていた。基準値を超えているとして近隣住民が訴訟を起こしたり保育所の建設に反対したりするトラブルが発生していた。

 都が昨年末から今年初めにかけて意見募集した際、「子どもが声を出して遊ぶのは当然。成長過程において大事だ」との意見も出ていた。

◆健全育成と生活環境 議会でバランス議論

 条例改正案をめぐっては、子どもの健全育成と近隣住民の生活環境確保のバランスをどう取るかが都議会の議論になった。

 近隣住民への配慮を求める陳情が二件出され、改正案の内容に陳情者は「近隣に受忍を求めるだけ」と反発し、植栽や防音壁を置く土地の提供や費用の助成など、規制以外の対策を求めていた。

 だが、陳情は賛成少数で不採択。一部会派は「子どもの健全育成を考慮しつつ、健康で安全な暮らしを確保できるようにする」との付帯決議を提案したが、否決された。

 一方で、各会派が都側に、規制除外は子どもの声を野放しにするのではなく、生活環境に支障がある場合は保育所など施設に対応させることを念押しした。

 施設が近隣住民とコミュニケーションをとり配慮を示すよう促すことも確認した。都として保育所に近隣住民への説明を義務付けるよう求めた会派もあった。

 「受忍限度という基準はあいまいで、施設の指導に当たる区市が対応に迷う」との指摘もあり、今後の運用が問われそうだ。

 

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