ヘッジファンドが狙う新手の有望ビジネス-訴訟ファイナンス
2015/03/20 07:03 JST
(ブルームバーグ):良いか悪いかは別として、「訴訟ファイナンス」というビジネスの市場は拡大し続ける。ヘッジファンドなどが訴訟を対象として行う投機は件数も金額も増えている。一部の企業ロビイストはこの新しい金融事業が無駄な訴訟を増やすと警告するが、高いリターンを求める投資家の存在と法律事務所の商売熱心はこのビジネスの成長を保証してくれる。
誕生して日の浅い米訴訟ファイナンスの業界で最大手の英バーフォード・キャピタルは18日、力強い2014年業績を発表した。収入は35%増え8200万ドル(約98億9200万円)、営業利益は43%増の6100万ドルだった。同社が投資できる資金は5億ドル。全部で32件の投資を行い2億900万ドルを回収、投下した自社資本に対する利益は7800万ドルだという。
1社の業績より重要なのは、バーフォードが企業同士の係争での訴訟ファイナンスの利用を主流にしたことだ。クリストファー・ボガート最高経営責任者(CEO)によれば、同社は主に、大手企業が起こす訴訟で企業が契約している法律事務所が手掛ける裁判のための資金を提供する。同社がファイナンスした件に関わった著名な法律事務所として、シンプソン・サッチャー・アンド・バートレットやキング・アンド・スポールディングなどの名前を同CEOは挙げた。
米国での活動が3年目となるオーストラリアの訴訟ファイナンス提供会社、ベンサムIMFは2014年に、契約違反や著作権侵害などの訴訟10件に資金を出したという。同年に米国で3100万ドルを回収し1700万ドルの利益を上げた。同社のラルフ・サットンCEOは「新たなファイナンスの機会はこの1年に数、金額ともに急激に増えた」と話す。
米商業会議所が恐れるのはまさにこうした展開だ。商工会議所の法改革機関のプレジデント、リサ・リカード氏は「訴訟ファイナンスは係争を対象に賭けをする洗練された仕組みだ」とし、「訴訟が増え、結果をめぐる不透明さが増す。さらに資金の出し手を満足させるために和解金が高くなり、場合のよっては腐敗につながりかねない」と指摘した。
一方、訴訟ファイナンスが弱者を大手企業から守るという主張もあり、ベンサムのサットンCEOは「システムの不備を修正し不公平をなくそうというビジネスだ」と述べた。
原題:Hedge Fund Betting on Lawsuits Is Spreading(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Paul Barrett pbarrett17@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Peter Jeffrey pjeffrey@bloomberg.net 木下晶代
更新日時: 2015/03/20 07:03 JST