「新世代努力論」にも書いた話をこちらでも。


「才能」とは「認知特性」である

「才能」という言葉は面白いですよね。「努力が99%、才能が1%」「あいつは才能があるから勝てない」などなど、日常的によく使われる割に、それがなんであるかがクリアになっていない気がします。才能って何だと思います?

「才能」をもう一歩深く言語化すると、「生まれた時点で持っている能力・素質」なんてところになると思います。これって、発達や教育の分野で語られる「認知特性」なんですよね。


風鈴を思い浮かべてください。

これぼくの独自のテストなんですが、いいですか、風鈴を思い浮かべてください。

風鈴ですよ?あの風鈴。


はい、どうぞ。




…できましたかね。

さて、みなさんは、「風鈴の映像」を思い浮かべましたか?

それとも、「風鈴の音」を思い浮かべましたか?

または、その両方でしょうか?


音が再生される場合は「聴覚優位」

認知特性というのは、脳が生まれ持って獲得している、物事を認知する「傾向」のようなものです。生まれた時点の脳の話なので、基本的には変えることはできないと思ってよいでしょう。

さて、風鈴の話ですが、先ほど「風鈴の音」を思い浮かべた人は、おそらく「聴覚優位」と言われる認知特性を持っている人です。その名の通り、耳からのインプットが強いタイプです。


映像が再生される場合は「視覚優位」

一方で、音よりも風鈴の「映像」の方が強く想起されるようなら「視覚優位」にカテゴライズされます。

こちらもその名の通り、耳ではなく、視覚、つまり目からのインプットが強いタイプです。


努力では覆らない

ぼくは聴覚がかなり強いタイプなので、かなりリアルに風鈴の音を想像することができます。風鈴だけでなく、風の音、蝉の鳴き声なんかも再生されます。でも、映像はまったく出てきませんし、想像しようとすると、変なイラストみたいなものが出てきます。しかも部分的。風鈴の全体像すら思い浮かべることができません。

視覚優位の傾向が強い人は、多分、ぼくのこの感覚に驚くと思います。イケダはなんで風鈴の映像を想像できないんだ、そんなのどっかで見たことがあるじゃないか。私はすぐに絵に描くこともできるぞ、と。

でも、ぼくは本当にできないんです。風鈴のイメージを、脳内で描くことができないんです。頑張ればできるとかそういうレベルでもありません。できないものはできないんです。


逆に、ぼくは聴覚が強いので、好きな曲をかなりリアルに再生することができます。頭の中にオーディオ機器があるようなもので、スイッチを入れれば音楽が流れます。音楽は何かをしていても中断されることなく、BGMのように頭に鳴り続けます(多少、「聴く」意識は必要ですが)。和音も音色も再現されますし、クラシックの場合は奏者の息遣いなんかも聞こえてきます。

で、これは多分、視覚優位の人には難しいと思うんですよ。何を言っているかわからないと思います。うちの妻は視覚が強いんですが、やっぱりぼくのような「音の再生」はできないらしいんです。ピアノ音楽を再生しようとすると、ピアノの音ではなく「自分の声」になってしまったり、和音が再生できなかったり、そもそもすごく疲れてしまったり。ぼくのように自然に再生することができないんですね。


またまた一方で、うちの妻は視覚優位の傾向が強いので、人の顔を覚えるのがめちゃくちゃうまいです。一瞬で覚えます。街ですれ違ったレベルでも記憶できるあたり、まるで頭のなかにカメラが入っているようです。

そう、ぼくはぜんぜんダメなんです。人の顔を覚えることがマジでできません。頑張ってるんですけど、できないんですよ。よほど特徴があれば別なんですけどね…。人を覚えるときは、顔ではなく「所属」「そのとき話した話」「その人の印象」とかを使うようにしています。だから、街中ですれ違ってもぼくはたぶんあなたを認識できません。


長々と書きましたが、これが「才能」の実相だと思うのですよ。ぼくは頑張っても妻のようにはなれませんし、その逆に、妻はどれだけ頑張ってもぼくのようにはなれません。今後脳科学が発展していけば部分的な補強は可能になるのかもしれませんが、抜本的に認知傾向を変えるのは難しいんじゃないかと思います。


認知特性に合った仕事をしよう

認知特性というのは、もんのすごく重要だと思います。その人の仕事の向き不向きは、ほとんど認知特性で決まるとぼくは思い込んでいます。

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)」によれば、ぼくは聴覚優位のなかでも、言語運用に優れたタイプだそうです。言語と聴覚って、まさに文章を仕事にできそうな感じですよね。ぼくがコミュ障なのも、視覚の認知が弱いことに関係しているような気がします。人の顔が認識できないと、そりゃ人間はコミュニケーション能力で劣りますから。

うちの妻は視覚優位なので、やっぱりビジュアル的なセンスが優れています。というか、ぼくより明らかに「こだわり」があります。食器とかインテリアとか、うちの妻はよく勉強しているんですよ。ぼくには無理です。映像系の仕事はすごいエネルギー使うんで、ブログ書いている方が楽です。


また、教育の方法ともこれは関係してきます。ぼくは視覚の認知が弱いので、イラストとか図で把握するのが苦手だったりします。一方で聴覚認知が強いので、たとえば「歌にして覚える」とかは強烈に得意です。

大学受験時代、世界史の偏差値が80くらい行ったんですが、それはやっぱり「歌にして覚える」というのが得意だったからだと思います。色々歌を作りましたよ、ぼく。もう忘れたけど。


この話はほんっとに面白くて、それこそ専門書で一冊まるまる語られるレベルです。気になった方はまずこちらの一冊を。名著です。

そして、実際にテストしたければこちらの新書を。納得感のある結果が返ってくると思います。


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