尿1滴でがん判定 九大、線虫使った検査に成功
九州大などの研究グループは11日、体長1ミリの線虫に人の尿のにおいを嗅がせ、高い精度でがんの有無を判定することに成功したと発表した。尿が1滴あれば、痛みもなく安価にがんの検査が可能になるという。日立製作所などと検査装置の開発を進めており、早期の実用化を目指す。11日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。
■ヒントはサバの寄生虫にあった
九大大学院理学研究院の広津崇亮助教(神経科学)と伊万里有田共立病院(佐賀県)の園田英人外科部長のグループによると、線虫は水中などに生息する微小な動物で、嗅覚が犬並みに優れている。がん患者と健常者の尿(1マイクロリットル)をそれぞれプレートの端に置き、中央に置いた100匹の線虫の動きを調べたところ、7~8割の線虫ががん患者の尿に集まり、健常者の尿からは逆に離れることから、がんのにおいに反応することが判明した。
精度を確かめるため、242人(健常者218人、がん患者24人)の尿を採取してテストを実施。線虫はがん患者24人のうち23人に「陽性」の反応を示し、発見確率は95・8%だった。うち5人は採尿時点では、がんと診断されていなかった。初期の「ステージ0と1」のがんは、血液の成分を調べる腫瘍マーカーの発見確率が0~33%にとどまるが、線虫による検査では88%以上の確率で発見できたという。
一方、健常者をがんと誤って判定する確率が5%あることなどから、精度の安定化が今後の課題という。広津助教は「早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんを含む十数種類のがんに線虫は反応した。特定のがんにだけ反応する線虫をつくることにも成功しており、将来的にはがんの種類の特定も可能になる」と話している。
=2015/03/12付 西日本新聞朝刊=