<復興基金>1652億円、使途不適切か
東日本大震災の復興関連基金で、使途が不適切だったり、使用見込みがなかったりした事業の総額が2014年8月末で少なくとも1652億円に上ったことが2日、会計検査院の調査で分かった。検査院は、基金の返納の徹底や使途の精査を国や支出団体に求めている。
復興関連基金は13年度末までに112事業、3兆6709億円が予算化された。当初、使途が問題視される事案が相次ぎ、国は13年7月、対象を被災地と被災者に限定するよう通知、該当しない事業の残額の国庫返納を要請した。
その結果、基金の国庫返納総額は14年8月末で1652億円。そのうち1581億円が被災地、被災者に限定されない事業で、残りは復興の進行などに伴い不用となった事業だった。
基金は国庫返納後、別の復興事業の財源とされるが、復興に関連が薄いとされた基金事業全ての残額が、返納されてはいない。
震災の影響で路上生活者が増えると想定し、支援を拡充した厚労省の「絆」事業。検査院が調べた東京や香川など1都6県には基金82億円が交付されたが、使用見込みのない5億円超が返納されず、保有されたままになっている。
一方、被災地での保育所整備などが目的の「安心子ども基金」のように返納対象ではないが、同様の事業に復興交付金を活用できることからニーズの少ない事業もあった。
検査院は「国は今後も基金の執行と規模が適切かどうか検証し、余剰金などの返納を徹底するよう努めてほしい」と指摘している。
2015年03月03日火曜日