2月22日は、「おでんの日」なんだそうです。ご存知でしたか?
その理由は、「アツアツのおでんは『ふーふーふー』と息を吹きかけて食べることから、2(ふー)と22(ふーふー)の2月22日とした」とのこと。
おでんの日が近づいてきて、おでんが無性に恋しくなった私。
前々から気になっていた新宿の超人気おでん屋さん、「西尾さん」に電話をかけてみることにしました。なんでもこの「西尾さん」、【おそい、せまい、暑い】が店の売りなんだそうなんです。本当でしょうか?
「はい、西尾さんです」
おちゃめなあいさつにほっこりさせられたのもつかの間、電話口の西尾さんは申し訳なさそうにモジモジ。なんと、7時からの予約はずいぶん先までいっぱいだというのです。
でも、大丈夫! 予約の方が来るまでの1~2時間なら、空いていることもあるそう。
一瞬にして悪知恵を巡らせた私は、仕事早退という選択肢をはじき出し、開店5時から7時までという予約を取りつけました。
「ここ、西尾さんですか?」と集まってくる、おでんを求める人々。
北風がびゅんびゅんと吹きすさむ真冬の新宿三丁目、16:55分。
これから、あつあつふーふーおでんを食べる私には、北風さえもスパイスです。
新宿三丁目駅C1かC5出口から徒歩1分にある路地に、ひっそりと「西尾さん」はありました。
「西尾さん」は新宿三丁目の磁石かなんかなのでしょうか!? まだ5時前というのに、シャッターの下りた入り口にぱらぱらと人が吸い寄せられるように集まってきます。
みなさんの合言葉は「ここ、西尾さんですか?」
立て看板(?)に「おそい、せまい、暑い」の文字が。
1~2人席は3月まで、3~4人席は4月まで満席ですって!
この日は、5時からの予約もいっぱい。磁場に吸い寄せられた予約のない方たちは、虚しく肩を落として去って行ったのでした……。
「西尾さん」のお休みは週1日。日曜か月曜のうち、先に予約が入らなかった日がお休みになるそうです。
階段を降りると、そこは昭和のレトロ感満載のノスタルジック・ワールド!
シャッターが開いて、せまい階段を降りると…
カウンター8席、テーブル席2つの、清潔でこじんまりとした隠れ家的な空間が待っていました。天井には裸電球、壁には手書きのポップ、茶箱の椅子の中にはコートや荷物を入れられるようになっています。茶箱といえども侮れないこの椅子、かなり大きなしっかりしたつくりのもので、座り心地がいい!
それぞれの席には、「○○さん ご予約席です」と書かれた手書きの札が置かれていたり、椅子のフタが揃えて開けられているところも、西尾さんのお人柄と誠実なおもてなしの心が感じられます。こんなホスピタリティも大人気店の秘密なのでしょう。
大人気店をひとりで切り盛りしている西尾さん。
ダンディでハンサムな西尾さん。
テキパキと立ち回りながらも、にこやかに丁寧に説明をしてくださいます。
この間も、ひっきりなしに電話が鳴りますが、ひとりで切り盛りしているため、営業時間中は電話に出られないこともあるんだとか。予約やお問い合わせの電話は営業時間を避けた方がよさそうです。
「混み合ってくると、お料理やお酒をお出しするのがどうしても遅くなってしまうんです」と申し訳なさそうな西尾さん。
予約の電話には、「禁煙ですが、大丈夫ですか?」という一言も忘れません。お店がせまく、地下で換気もあまりよくないため、店内は禁煙です。また、お店の外でも、注意指導があったため、禁煙だそうです。
お通しのサラダは、冷蔵庫から食べたい人だけがセルフサービスでとる自己申告制。
なんとサラダには永谷園のお茶漬けを振りかけていただきます。油を使わないので、さっぱりヘルシー。
月に1回、京都まで仕入れに行くという昆布入りの焼酎が大人気!
月に1回、京都まで西尾さん自ら仕入れに行くという、北海道産の貴重な昆布入り焼酎は3種類。
- 昆布だけの先斗割
- 昆布と干し梅の瑞恵割
- 昆布と削りかつお節のだし割
ぬめりを出さずに旨味だけが染み出るこの昆布は、京都の問屋さん秘伝のものだそう。1回に買える量が制限されているため、仕入れ分がなくなり次第終了とのこと。とくに最近は、手に入る量が減ってきているそうで、ひとり1杯しか注文できません。
お昆布と干し梅の瑞恵割を選びました。旨味が出るまで大切に育てます!
お手ごろなお値段の美味しそうなお料理ばかりで迷ってしまいます。
どれもこれも美味しそうで、悩ましい!
紙にマジックで書いて注文します。
まずは、西尾さんオススメの「あぶり鯵の刺身」。わさびではなく、練りがらしとレモンでいただきます。香ばしくあぶられてキュッと身がしまった鯵は超絶品! もっと食べたい!!!
串に刺したおでん種に、だし粉をかけて食べるのが静岡おでん。
静岡出身の西尾さんが作るのは、静岡おでん。美味しくいただくために、「だし粉をかけた上からおでん汁をかけない」ことがルールだそうです。
黒いお汁に、串に刺したおでんがぐつぐつと美味しそう。1本130円という値段設定も嬉しいですね。おなべからセルフサービスでおでんをとって、お会計のときに本数を自己申告するというルールです。ここそこに性善説のムードが漂う「西尾さん」。
汁は入れずに、だし粉をたっぷりかけて。
大根、卵、厚揚げ、今夜のミックス(こんにゃく、なると、糸こん)をチョイス。うわ。大根柔らか~い。大根や卵は、3,4日前から仕込むそうです。ピンクのぐるぐるマークのなるとが可愛らしいですね。冬だけでなく、夏も同じ量のおでんを作るという「西尾さん」。だし粉をかけていただく風味豊かな静岡おでん、とっても気に入ってしまいました!
昆布の旨味がこれでもかと溶け出した焼酎
炙り鯵とおでんに感動している間に、焼酎の昆布と梅がふっくらと開いてきました。昆布の旨味が染み出て、どんどん焼酎が美味しく育っていきます。もっと美味しくなあれ、もっともっと美味しくなあれ。
焼酎の中の昆布と梅は、おつまみとしても美味しくいただけるそうですが……
おつまみとして食べちゃう前に、セルフサービスで焼酎とお湯を足す、1杯200円の替え玉焼酎があります。焼酎の濃さはお好みだけれど、西尾さんのオススメは「焼酎1:お湯2」の比率だそう。焼酎が多過ぎると温度が下がってしまい、昆布からだしが出なくなってしまうんですって。
これが、「西尾さん」で一番人気のさつま揚げだ!!!
ほとんどのお客さんが注文するという、西尾さん手造りの「さつま揚げ」。1コ240円。ほのかに味がついているので、何もつけずにいただきます。外はさくっと、中はあっつあつ、ふわっふわでとろけちゃいそう。もう一個ください!!!
さつま揚げも手羽先もひとつずつ注文できます。おひとりさまでもいろいろなお料理をチャレンジできて嬉しい。
西尾さんを中心に、和やかで楽しいムードの店内
そうはいっても、さすがにピザはひとりじゃ食べられないしとあきらめていたところ……物欲しげな視線を投げかけていたのでしょうか。お隣のお姉さま方が「岩のりピザ」をおすそ分けしてくださいました! 薄くてパリパリサクサクの生地に、岩のりとバターとガーリックの香りがたまりません。
私の視線にいたたまれなくなってか、「揚げじゃがバターの塩辛のっけ」もおすそ分けしてくださったお姉さま。カラっと揚げたじゃがいもに塩辛とバターの相性がピッタリ。西尾さんの穏やかで優しい笑顔を中心に、お客さん同士の楽しいおしゃべりも弾みます。
甘い味噌に10日間漬け込んだという「クリームチーズの味噌漬け」。「あたり前田のクラッカーと一緒にどうぞ」、西尾さんの目がいたずらそうにキラリと光ります。昭和の少年少女たちを魅了した「あたり前田のクラッカー」というギャグなネーミングで有名な前田製菓のクラッカー、初めていただきました! もちろん、味噌漬けクリームチーズも濃厚で美味です。
想像を絶する岩のり丼!
お腹がはち切れそうだけど、これを食べないわけにはいきません!
岩のり丼、どーん!!!
岩のり、たくわん、桜えび、ネギ、揚げ玉の乗ったごはんは、想像を絶する素敵なビジュアルです。彩りも器も見目麗しく、目にも嬉しいひと品ですね。岩のりと桜えびの磯の香りと、たくわんの歯ごたえが絶品!真似してみたいっと主婦のやる気を刺激して止みません。
2~3名分の量があったので、今度こそお姉さま方にもおすそ分けでき、ほっと胸をなで下ろした私です。最後に、やさしいうす味の大根のお味噌汁も出していただきました。
西尾さんったら、あったかいんだからぁ♪
完食。ご馳走さまでした。手間暇かけて調達し、じっくり仕込んだお料理、どれもこれも美味しかった~。
と、あちこちにウコンが置いてあるではありませんか。西尾さん曰く、ウコンはお酒を飲む前にではなく、お酒の後に飲むのがいいそうです。お酒の前に飲むと、酔わないからどんどんお酒が身体に入ってしまい、結果、飲み過ぎてしまうんだとか。
「気を付けてお帰りくださいね」と、ホッカイロをくださった西尾さん。どこまでも、あったかいんだからぁ♪
美味しい料理とお酒、手頃なお値段、西尾さんの誠実で一生懸命なお人柄と真心のこもったサービス、楽しくて気さくなお店の雰囲気と、どれをとっても噂以上に大満足の「西尾さん」でした。西尾さんに会いに「西尾さん」に集う人たちも多いというのにも頷けます。
しっぽり飲めたかどうかは別にして、すっかり「西尾さん」のファンになってしまった私。今度は友人たちと一緒にうかがって、すべてのお料理を制覇したいものです。
「人と料理の交差点」をテーマに、単なる料理の技術を学んでいただくための教室ではなく、お友達や家族に笑顔を届けてもらえるようなレッスンを展開中。笑顔と歓喜溢れるレッスンには、毎回多くの人が集まる。
HP: https://www.facebook.com/23fanDecookrentoLiaoLinoJiaoChaDian?pnref=lhc
文:23番地cook専属ライター ヒロセユキ
子育てひと段落して、久々の自由を謳歌中、ウカレ気味の(自称)アラフォー女子。飲み食い倒れながらも、主婦目線の記事が目標です。