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amazarashi、生肉を食べ続ける衝撃的映像で表現した命の意味
インタビュー・テキスト:金子厚武(2015/02/20)
amazarashiが自身初となるシングル『季節は次々死んでいく』を発表した。この曲はアニメ『東京喰種√A』のエンディグテーマとして既に話題を呼んでいるが、アニメの世界観ともリンクしたインパクト大のミュージックビデオもまた、実に大きな反響を巻き起こしている。そこで今回は、amazarashiの秋田ひろむ、そして、“穴を掘っている”に引き続き、ビデオのクリエイティブディレクターを務めたSIXの本山敬一、二人の言葉を基にして、楽曲やビデオに込められた想いを解き明かすと同時に、現代におけるアニメや漫画、そして音楽の在り方を探った。
amazarashi(あまざらし)
青森県在住の秋田ひろむを中心とするバンド。日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝だが「それでも」というところから名づけられたこのバンドは、「アンチニヒリズム」をコンセプトに掲げ、絶望の中から希望を見出す辛辣な詩世界を持ち、前編スクリーンをステージ前に張ったままタイポグラフィーと映像を映し出し行われる独自のライブを展開する。3DCGアニメーションを使ったMVは文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞するなど国内外で高く評価されている。全く本人の露出なしに口コミで支持層を増やす孤高のアーティスト。
amazarashi official HP
本山敬一(もとやま けいいち)
1977年倉敷生まれ。クリエイティブディレクター。SIX所属。"A Fusion of Technology with Humanity"をテーマに、メディアを問わず人の心に残る体験をつくるのが課題。代表作にGoogle Maps ポケモンチャレンジ、PS4日本ローンチ、Google Chrome 初音ミクなど。
SIX
Keiichi Motoyama (@noiseless) | Twitter
女の子が血まみれで生肉を食べ続ける、衝撃のミュージックビデオ
アニメ『東京喰種√A』のエンディングテーマに起用されているamazarashiの新曲“季節は次々死んでいく”のミュージックビデオは、またしても衝撃的な仕上がりだ。その内容は、「レーザーカッターによって歌詞の形に切り取られた生肉を、1人の女性がひたすら食べ続ける」というもの。白を基調とした無機質な背景と生肉の鮮やかな赤、レーザーカッターによる近未来的なイメージと「食べる」という原始的な行為との対比が鮮やかで、終盤に向けて血まみれになりながら貪るように肉に食らいつく姿が、強烈なインパクトを残す。
秋田:『東京喰種√A』からエンディングのお話をいただいて、幾つか世界観が合いそうな曲を石田さん(石田スイ。『東京喰種』の作者)に聴いてもらって、選んでいただきました。この曲は前からあって、早くみなさんに聴いてもらいたいという気持ちはありつつ、『夕日信仰ヒガシズム』(2014年10月にリリースしたアルバム)に収録するにはちょっと毛色が違うかなと思って、どういう形で発表するかを悩んでいたんです。
『東京喰種』とは、『週刊ヤングジャンプ』に連載中の大人気漫画。人間を食べることでしか生きられない「喰種(グール)」と、人間との対立を軸に、元は人間でありながら、喰種の臓器を移植されたことにより、半喰種となってしまった主人公の葛藤を描いていく。昨年7月からアニメシリーズがスタートし、『東京喰種√A』は今年1月からスタートした第二期。“穴を掘っている”に続き、今回再びamazarashiのミュージックビデオを手掛けたSIXの本山敬一は、作者の石田スイがもともとamazarashiのファンであったこと、秋田がアニメの世界観に合わせて曲を提供したことを踏まえて、楽曲とアニメの世界観の融合を試みたのだという。
本山:“季節は次々死んでいく”は、「時間は私たちの人生におかまいなくどんどん過ぎて行ってしまい、人は輪廻の輪に帰って行く。だから今が最低だろうと、自分というものが曖昧でも、嘆いていないで、ただ前に進め」という歌だと解釈しました。なので、歌詞にもある<輪廻の輪に還る命>がミュージックビデオの軸となるストーリーになっています。時間が過ぎた果てに、登場人物の女の子は消えて(=輪廻の輪に帰って)、蓮の花だけが残る。蓮は、仏教的に「死後」「よき行いをした人が生まれ変わるもの」とされています。舌の上、掌の上で、繰り返し「命」という漢字を強調しているのは、この考えからきたものです。
「イノチはイノチを食べて生きています」。人間にとって食事という行為の意味
ミュージックビデオの冒頭には、「イノチはイノチを食べて生きています イノチを食べた私はいつかイノチに食べられる 私が美味しいといいのだけれど」という谷川俊太郎の詩(『恐竜人間』PARCO出版)を引用。「輪廻の輪に還る命」という曲のテーマと、「食べる」という喰種のモチーフとの融合が、端的に美しく表現されている。
本山:「食べ続ける」というモチーフは、喰種という存在だけではなく、「過ぎて行く時間」も意味しています。呼吸は、一生でその回数が決まっていますが、食事も同じです。狂ったように食事をすることで、時間の急速な経過と、人が生き急ぐさまを表現しました。ちなみに、企画段階では、『2001年宇宙の旅』(1968年に公開された、アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックが脚本を手掛けたSF映画)の最後のように、どんどん老化していくというアイデアもありました。
「肉を食べる」というシンプルな内容にアクセントをつけているのは、間違いなくレーザーカッターの存在。“穴を掘っている”のときは「インターネットの可視化」という理念の下、プリンターからTwitter上の「死にたい」という言葉が次々とプリントされていくというアイデアが用いられていたが、今回も先端の技術を見事作品に取り入れている。
本山:歌詞はamazarashi最大の魅力のひとつ。そして言葉こそ、人間を人間たらしめるもの。生肉の言葉を食べることで、amazarashiの歌詞が「生きた言葉」であることを印象付けると同時に、人間を食べる喰種を表現したかったんです。生肉で言葉を作るには、フォントまで再現できるレーザーカッターが最適だと考えました。レーザーカッターで生肉から歌詞を切り出して食べるという映像は、私が知っている範囲では過去になかったので、インパクトがあるかなと。