ベルギーでは安楽死が法律で認められている。
しかし、認知症の人の死の選択については混乱もあるようだ。がんと同じようにはいかない状況が報告された。
認知症とがんの状況を調査
ベルギー、ブリュッセル自由大学とゲント大学の終末期ケア研究グループのケネス・チャンバエル氏らの研究グループが、米国老年医学会の機関誌、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ジェリアトリクス・ソサエティ誌で2015年2月2日に報告している。
認知症の末期にある361人に対して本人の最期をどう判断するか、がんの末期にある1276人の場合と医師への調査に基づいて比べた。
研究グループは医師8627人に対して調査を実施。回答を54.7%から得た。
本人が希望しても困る
そもそも認知症とがんとの間で本人の苦痛は変化していないという結果が出ている。がんこそ苦痛が大きいようにも思えるが、認知症で苦痛や症状が軽減されるというわけではなかった。
本人のおかれた状況は似通っていても、死を選択するような場合には差が出ていた。
まず延命治療の判断は、認知症では行われなかったり、取りやめられたりすることが多かった。がんの方が延命治療をしていこうとする場合は目立っているようだ。
だからといって、死を選択する上では必ずしも認知症で積極的ということにはならない。安楽死を認知症でも選ぶ場合もあり得るが、がんと比べると認知症の場合には許可されることは少なくなっている。認知症の1.3%にあたる5人が安楽死を希望していたが、許可されなかった。一方で、がんの4.7%にあたる60人の患者が安楽死を許可されていた。許可されなかったのは3.8%にあたる48人だ。
認知症の多くは、がんの場合よりも家族が関わることが多かった。判断を下す能力がほとんどないため。家族に負担が来ている状況がある。
介護の計画を洗練させる必要
認知症の人の場合に、最期の判断を下す理由に挙げられたのは、「回復の見通しがない」(59.7%)、「延命が無意味」(54.5%)、「生活の質が低い」(46.2%)、「さらなる苦痛を避ける」(37.6%)だった。
安楽死をめぐって認知症では本人の意向を踏まえるのが困難になると見られる。研究グループは、介護の計画を最善の方法で作り上げる必要があると指摘。安楽死を許可するときの医師や家族への重圧を軽くできると見ている。
日本では安楽死の選択肢こそないが、延命の問題は共通。同じように介護の計画は必要になるのだろう。
文献情報
Chambaere K et al. End-of-Life Decisions in Individuals Dying with Dementia in Belgium. J Am Geriatr Soc. 2015 Feb 2. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25641376
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