編集委員・永井靖二
2015年2月17日01時41分
■戦争のリアル〈2〉
皇居にほど近い東京国立近代美術館の3階に、パリで活躍した洋画家、藤田嗣治(つぐはる、1886~1968)が戦中描いた「アッツ島玉砕」と「サイパン島同胞臣節(どうほうしんせつ)を全(まっと)うす」が掛かる。
血みどろの死闘を繰り広げる兵士たちと、戦火で断崖へ追い詰められた女性や負傷者……。暗褐色の群像が放つ迫力に気圧(けお)され、後ずさりする来館者もいた。
単身で渡仏し、「乳白色」と称された裸婦像でエコール・ド・パリ(パリ派)の寵児(ちょうじ)となった藤田は戦時下、母国で軍部の求めに応じ、戦争画を手がけた。
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