厚生労働省が19日に発表した2014年の賃金構造基本統計調査によると、正社員を中心にしたフルタイム労働者の賃金は月平均で30万円と前年よりも1.3%増えた。増加は2年ぶりで、伸び率は18年ぶりの大きさ。業績が改善した大企業が主導しており、女性や非正規の社員の待遇改善も進んでいる。
調査の対象は従業員10人以上の事業所。基本給に相当する所定内給与について、14年6月の実績を調べた。
企業規模別にみると、1000人以上の大企業は0.8%増の34.7万円。業績改善で賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を実施する動きが広がった。一方で、99人以下の小企業は0.3%増の26.2万円にとどまった。
男女別にみると、これまで賃金が低かった女性の待遇改善が進んだ。女性の賃金は2.3%増の23.8万円。男性と比べて過去最高の72.2%の水準になった。「長く働く女性が増え、管理職に占める女性の比率も最高の8.3%に上がった」(厚労省)という。
非正規社員の賃金も20万円と2.6%増え、正社員の伸び(1%増)を上回った。パートタイム労働者の時給は男性が1120円、女性は1012円で、ともに過去最高を更新した。パートの時給は雇用市場の状況を反映する。人手不足による採用難で時給を上げる動きが広がった。
学歴別にみても、高卒社員の賃金が1.5%増の26.2万円と、大卒社員の伸び(0.1%増)を上回った。14年7月時点の高校生の有効求人倍率は1.28倍と前年同期から0.35ポイント上がり、6年ぶりの高い水準。現場の人材が足りない製造業や流通業、建設業で大幅に増え、賃金の水準を押し上げている。
ただ都道府県別にみると、依然として大きな地域差が残る。首位は東京都で37.7万円と3.5%増えた。一方、47位の青森は2.5%減の22.7万円。東京の6割程度の水準にとどまり、格差が広がっている。
厚生労働省、厚労省、賃金構造基本統計調査