コラム:イスラム国が人質焼殺映像で得たもの
Peter Van Buren
[9日 ロイター] - 数週間前、世界の大半の人は日本の首相が過激派組織「イスラム国」と戦う国々に対して2億ドルの「人道支援」を約束したことを知っていただろうか。
日本人2人がイスラム国に数カ月間にわたり拘束されていたことを、あるいはヨルダン軍パイロットも拘束されていたことを知っていただろうか。そしてヨルダンが2005年以降、自爆攻撃に関与した国際武装組織アルカイダ系の女性死刑囚を収監していたことを知っていただろうか。
今なら世界中がそうしたことを知っている。イスラム国は日本人の人質2人とヨルダン軍パイロットを殺害し、メッセージをインターネット上で拡散し、それによる戦略的利益を得た。
<イスラム国が成し遂げたこと>
イラクでは先月、2287人が殺害された。同時期にシリアや他の「対テロ戦争」地域で何人が犠牲になったのかは誰にも分からない。すべてがほとんど何も変わっていないようにも見える。だがイスラム国は、世界のメディアを巧みに操作してあのように身の毛もよだつような方法で3人の人質を殺害し、以下のような成果を上げた。
●イスラム国は米国の同盟国2国に屈辱を与えた。日本とヨルダンは共にイスラム国との交渉を模索したが、結果的に脆弱で無力であることが露呈した。
●だんまりを決め込んだ米国も、同盟国にとって無力であることが示された。 続く...