子犬の販売:生後何日から? 親離れ早いと問題行動も
毎日新聞 2015年02月05日 10時45分(最終更新 02月05日 11時47分)
子犬や子猫は生後何日まで親と一緒に飼育されるべきか。ペットショップでの販売を巡り、そんな調査を環境省が進めている。親と離されるのが早すぎると「かみ癖」「ほえ癖」といった問題行動を起こしやすくなり、飼い主の飼育放棄につながりかねない。しかし業者側には、生まれたての愛らしいうちに売りたい思惑もある。調査結果は国内のペット販売の形を大きく変える可能性がある。【阿部周一】
「オーナー(飼い主)への引き渡しは生後60日以降に限っています」。横浜市鶴見区のブリーダー、江沢文子さん(53)はラブラドルレトリバーの繁殖を手掛け16年になる。「生後30〜40日は子犬が一番可愛い頃で、『早く譲って』という声も聞きます。でも、親や兄弟姉妹と一緒に過ごすことで社会性や病気、けがへの抵抗力が身につく大切な時期でもあるんです」。江沢さんのようなブリーダーは少数派だ。大半の繁殖業者は生後45日たつと子犬を親から離して販売店や飼い主に引き渡す。
2013年9月に施行された改正動物愛護管理法は犬と猫について、繁殖業者に「生後56日以内」の引き渡しを禁じた。ただ、それまでは規制がなく30〜40日前後での店頭販売が当たり前だったため、「おりを大きくする費用や餌代、医療費がかさむ」「科学的根拠があいまい」と反対したペット業界に配慮し、施行後3年間は「生後45日以内」の引き渡し禁止、その後は「49日以内」とする移行期間を設けた。
最終的にいつ「生後56日以内」まで延ばすかは、環境省の調査結果を検証した後に別途、法律で決める。
調査は全国のペット販売店で犬や猫を買った飼い主に、半年以上たった後、かみ癖の有無などを尋ねる。親から離したのが生後49日か56日かで、問題行動に差がないかを統計的に確かめるのが目的だ。14年度は計3000匹以上、15年度はさらに対象数を増やし、18年度までに検証内容を公表する。
欧米の法律では「生後56日」を採用している例が多く、同説を支える先行研究もある。米ペンシルベニア大による成犬の行動解析では、人を攻撃する▽音や光を怖がる▽留守番ができない−−といった問題行動が表れる確率は、親から離されるのが早いほど高くなるが、生後8週(56日)だと9週や10週の犬と差がなくなるという。